2016年9月28日 (水)

無念

 「声を詰まらせ、天を仰いだ」。東京新聞朝刊の記事である。羽生善治王位に挑戦した木村一基八段の悔しさが活写されている。七番勝負をフルセットで戦い先に羽生をカド番に追い詰めタイトルを奪取できなかった。勝てば最年長戴冠の大記録だったのだ。羽生も今年は名人位を奪われ厳しい精神状態で臨んだ七番勝負だったろう。さすが棋界の第一人者だ。ファンとして実に面白く七局を楽しませて頂いた。心から両雄の健闘を讃えたい。

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2014年1月22日 (水)

谷川A級陥落

 将棋の谷川浩司九段がA級を陥落した。アカショウビンが将棋に入れ込んでいた頃の指南書は加藤一二三元名人の(以下敬称は略させて頂く)矢倉戦法の著書と加藤の棋譜だった。それで秋葉原と新宿の道場で二段を取得した。加藤の著書を熟読した成果だ。秋葉原の道場で昇段祝いに故・真部一男九段に二枚落ち(飛車・角を落とす)で対戦して頂いた。加藤の駒落ち定跡を一夜漬けで読み臨んだが完敗だった。プロの実力を思い知らされた。

 加藤を負かして谷川は名人になった。その谷川が32期在籍したA級を陥落した。加藤・谷川のファンであるアカショウビンにとって驚愕するしかない。米長邦雄亡き跡の将棋界の顔となった谷川もトップクラスの熾烈な戦いに突き落とされる。それが勝負の世界の厳しさであることは素人には理解されないだろう。しかし、それが苛酷な現実であり事実である。それは他の棋士にとっても他人事ではない。勝負師とは何とも苛烈な生業である。アカショウビンは単なる将棋ファンでよかった。しかし身過ぎ世過ぎは世の習いである。世界は違っても娑婆の生死は、それぞれだ。アカショウビンも幾らあるか知らぬ余生を生きている。棋士たちの棋譜を楽しみながら。

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2011年6月 8日 (水)

名人戦、最終局へ

  以下の記事はミクシイに書いたものの転載である。ミクシイには熱心な将棋ファンが二人おられるので共に名人戦を楽しんでいる。それにしても昨年は羽生の圧勝。今年は逆の立場で4局で終わりかと思っていたら名人がど根性を出してくれた。ど根性では失礼だ底力というべきだろう。さすが将棋の歴史でも傑出した名人である。最終局が楽しみだ。
 いやいや、何とも凄いことになった。山形県の天童で戦われていた羽生善治名人と挑戦者、森内俊之九段の名人戦七番勝負の第6局は羽生勝ち。何と3連敗後の3連勝である。3連勝の勢いの森内の歯車がいつのまにか狂ってきた。鉄壁の受けが羽生の攻めを封じられない。どうした森内?
 昨年に続き4局で終わる可能性もあったのだ。ところがアレヨ、アレヨという間に羽生が追いついた。さすが羽生である。将棋の「純文学」相矢倉で追いつき逆王手をかけた。将棋界の千両役者と言うしかない。
 仕事に追われ新聞を読む時間もとれず昨日の夕刊の途中経過で名人戦に気付いた。月曜日から静岡へ一泊出張。休む間もなく本日は長野へ。信州、安曇野は天気も良く汗ばむほどの陽気。昨年は秋に南の飯田から北の野沢温泉村近くまでレンタカーで走り回った。信州は春から夏の季節も気分が浮き立ちこれまたよろしい。木々の緑が眼にしみる。暑さに弱いワサビを陽の光から防ぐために網のかかったワサビ田も信州ならでは。NHKの朝ドラ「おひさまの」の舞台、安曇野は観光客が激増しているという話。こちらは観光どころでなくレンタカーでかけずり回りクタクタでホテルへ。
 さて名人戦は?とネットを見ると羽生勝ち。おぉー!さすが名人である。名人戦の最高の舞台で、竜王戦で渡辺に食らった3連勝4連敗の屈辱を森内に舐めさせるか。何ともシビレル展開になった。小生は羽生のファンというわけではない、将棋のファンなのである(笑)。そこで無節操・無責任に森内ガンバレ!と呼びかけよう。

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2009年5月 8日 (金)

秀行、逝く

 将棋名人戦の第3局が行われている日に囲碁棋士、藤沢秀行の訃報を夕刊で知った。破天荒な生き様と囲碁に対する純粋な姿勢は多くのファンを持ちアカショウビンも多大の関心を持ってきた棋士である。アル中で競輪・競馬好き。昔気質の勝負師だった。碁への求道的な姿勢は中年を過ぎてから棋聖などのタイトル獲得、防衛に結実した稀有の棋士でもある。

 アカショウビンは、そういう秀行という棋士の人となりを伝え聞き、棋譜を並べることで囲碁の世界に分け入ってきた。囲碁も強い米長邦雄・将棋連盟会長との交遊も面白かった。同じ勝負師同士の世間的な付き合いを超えたもののように思えたからだ。勝負の修羅を経験した者同士でしかわからぬ阿吽の呼吸がそこに感得された。その生き様はアカショウビンがかつて愛読した開高 健の随筆にも登場する。それは実に可笑しく面白い秀行の姿が切り取られている。開高と秀行は、かつてご近所同士だったのである。それで益々囲碁はともかく人物に魅かれた。人は、そのようにも生きられる、ということに驚愕し感嘆する。

 ガンに罹患しながらも3度の手術を経て10年以上生きたことにも驚く。98年に現役を引いてからは書の世界にも遊び一芸に秀でた者の融通無碍を知らしめた。

 韓国、中国へも何度も遠征し国籍に拘らず後進の指導に努め碁の真理を追い求めた。その姿勢に日本、中国、韓国には多くの後輩がいて尊敬を集めている。ライバルの23世本因坊・坂田栄寿氏のコメントが心にしみる。「対戦成績は私の方が良かったが、才能は私よりあったと思う。昔かたぎの棋士の一人で、秀行さんのような棋士は二度と出ないでしょう」。83年の生涯は破天荒だが囲碁の純粋な求道者だった。心から、お疲れ様でした、と労いたい。

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2009年3月12日 (木)

中原、引退

 毎日新聞一面に中原 誠十六世名人が引退の報。別面の記者会見の写真で、杖をついて不安定な格好で椅子に腰掛けている姿に改めて病の厳しさを痛感した。昨年8月の対局後に脳出血で緊急入院しリハビリ中との噂は聞いていた。しかし復帰ならずとは寂しいかぎりだ。

 アカショウビンが学生のころは中原の全盛時代で大山康晴(以下、敬称を略させていただく)もまだ元気だった。現在の将棋連盟会長である米長邦雄が好敵手で数々の名勝負を楽しみながらはまり込んだアカショウビンの将棋中毒はいつの間にか止んだとはいえ未だ余韻は残っている。

 中原の十連覇がかかる1982年の名人戦の最終局を今もよく覚えている。相手は加藤一二三九段。アカショウビンは加藤九段のファンなのである。新名人の誕生かもしれないというので千駄ヶ谷の将棋会館へ大盤解説を聞きに行った。解説は谷川浩司。テレビに対局場の盤面が映されていて、谷川は大盤で加藤勝ちを宣言し解説を止め、あとはテレビをご覧いただいたほうがよいでしょう、と言ってくれたのだった。加藤名人誕生にアカショウビンは自分の事のように欣喜雀躍した。加藤一二三の著書で将棋を勉強した甲斐があった、と喜んだ以上に将棋の頂上決戦の死闘に心が震えたのである。それほど中原 誠は強かった。才能では引けをとらない米長邦雄の挑戦を何度も退け、その柔軟で大らかともいえる棋風は大名人の風格を醸しだしていた。それは偉大な力士大鵬の強さと威風とも似ていた。

 先日は全盛時代には闘将とも称された、中原とは一回り近く年上の有吉道夫九段が棋界最高齢でリーグ残留を決めた。子や孫のようなピチピチの若手との一日がかりの対局は想像以上に厳しいと思われる。しかしプロは老いても若者であれ誰にでも負けたくないのである。それが勝負師というものであろう。引退の報は、その朗報を聞いたばかりなだけに残念である。しかし今後は解説や文筆をやっていかれるという。その飾らない柔和な人柄は全盛時代から将棋界だけでなく各界にファンを広げた。今後も将棋の世界の普及に大きな役割を果たすに違いない。棋界の重鎮としてこれからも頑張っていただきたいと心から願う。

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2007年5月17日 (木)

名人戦第4局と映画三昧

 きょうから将棋名人戦の第4局である。森内名人は1勝2敗のあとを受けタイに持ち込みたい。負ければカド番である。3敗から3連勝するのは至難。挑戦者の郷田九段からすれば、ここで一気に名人を土俵際まで追い詰めたい。2連勝の勢いはタイに持ち込まれてはフイになる。

  ここのところはレンタルDVD三昧。先日は溝口健二監督の「夜の女」、小林正樹監督の「上意討ち 拝領妻始末」、新作の「ブロークバック・マウンテン」、ウッディ・アレン監督の「マッチ・ポイント」を観た。「上意討ち~」は何度か見ているがその前に撮った「切腹」のほうが完成度は高い傑作。代表作の「人間の条件」は6部構成で9時間を越える渾身の作品。学生時代に観て以来再見していないがDVDにはなっているのだろうか?最近の若い人たちには往年の日本映画のパワーを是非見てもらいたいとも思う。戦中派の小林監督は、晩年に「東京裁判」を撮って強烈なメッセージを発した。

 「ブロークバック・マウンテン」はカウボーイの同性愛を描いた異色の話題作。各映画賞を総なめにし高い評価を得ている。冒頭から米国のワイオミングの壮大で美しい景色をキャメラが見事に撮り切っている。音楽もギターのソロが物語の切なさを見事に描いた佳作だ。あちらの世界の愛憎はよくわからないが愛は異性だけでなく同性間でも可能というメッセージは良く伝えていると思った。ジョン・ウェインはじめ男臭さが売り物の米国西部劇もここまで来たのかの感慨あり。

 「マッチ・ポイント」は評判に違わぬ傑作。完全犯罪に至るプロセスをアレン監督が見事に撮り切った。キャスティングも絶妙。英国の富裕層の家族関係を巧みに描いて秀逸だ。主演の女優は今が旬。先日は画家のフェルメールを題材にした作品も見たが男心をそそる魅力的な女優だ。出演依頼も世界中から殺到しているはず。アレン作品に出て箔もついたのは間違いない。セックスアピールはオヤジ層にはたまらない、と思う。それにしてもウッディ・アレン健在を確認できたのは幸い。

  明日は辞めた会社の残り仕事と応援のお仕事。時給千円で受けるアカショウビンもアホだが50過ぎたオヤジをそんな給料で雇う会社も会社だ。あーもっと早く辞めたかったのだが早々に縁切りにしたい。井原西鶴は商売の要諦は算用・才覚・始末だと言っていたはずだ。これは現在の商売でも同じだろう。名人戦の解説会には行けそうもないが仕方ない。

  アカショウビンも失業中でウカウカしておられない。きょうは友人のM尾君と新事業の事務所探しもした。とにかく次の仕事を見つけて動かなければならない。

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2007年4月12日 (木)

名人戦

 今年の将棋名人戦の対局者は同年齢である。名人森内、挑戦者郷田共に36歳。久しぶりに常連の羽生でも佐藤でも谷川でもないダークホースが登場した。昨日の夜に7番勝負の第1局が終わり挑戦者勝ち。面白くなった。長丁場の戦いは緒戦を終えたばかり。両者の渾身の戦いを楽しませていただこう。

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2007年3月 2日 (金)

後継者

 引退を表明した円楽さんが、次の落語界を背負う逸材として小朝を挙げたらしい。アカショウビンは同意しない。「大御所」が名指した人として夕刊紙は書きたてていたがアホな!とアカショウビンは舌打ちする。

 小朝の才覚を認めるにやぶさかではない。しかし「落語界」を背負う逸材で一番に挙げる噺家であるわけがない、ということに盲目な円楽という噺家の才覚をアカショウビンは認めない。言い過ぎだろうけど。

 将棋の世界で、名人が勝負に負け、よい後継者に棋界を任せられます、と言ったとき、それは恐らく99.99%正確な発言だ。しかし、「大御所」と巷で奉られる老人が、業界の後継者は彼だ、と断定したとき、その判断は9割の確率で誤っていると思う。証明はできないけど、直感で。

 噺家の実態をアカショウビンは多少なりとも経験している。小朝の小才より数段面白い噺家はいくらでもいるよ、円楽さん。元よりアカショウビンはチンピラが嫌いである。談志なんてのは以前も書いたけれどガキだと思っている。小朝は円楽さんの言葉を鵜呑みするほど馬鹿ではないだろう。しかし人は増長する生き物である。

 落語界に多少なりとも関心を持つ者としては底辺の厚みが増していると思う昨今の現状は言祝ぐべきであろう。しかし老害をまかり通させてはいけない。駄言は駄言として棄却すべきである。

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2007年2月 2日 (金)

新鮮な挑戦者

 何と名人戦挑戦者は最終局を待たず郷田九段に決定してしまった。ここは2番手にピタリ着いていた谷川九段が羽生王将を撃破し最終局に楽しみをつないで欲しかった。残念。それにしても羽生は強い。

 とはいえ、森内VS郷田という組み合わせは新鮮だ。この30年の将棋界の変遷を見ているといつの間に、といった感慨に浸り驚く。主役はいつの間にか代わっている。大山、加藤、中原、米長らの大看板は大舞台を去り、かつてはチャイルド・ブランドとからかわれた若者達がタイトル戦を独占し新時代の将棋を楽しませてくれる。

 昨年の将棋界は随分ゴタゴタしたが何とか収まり展望も開けてきた。将棋は日本で高度に発展した世界に冠たるゲームである。野球やサッカーと異なり室内でサシで勝負を決する。タイトル戦は二日がかり。精も魂も使い果たす厳しさであろう。しかし、そこでファンはプロの芸に驚愕し敬意を表し楽しむのである。プロの将棋は野球やサッカーとは一線を画す伝統に根ざした礼を重んずる頭脳ゲームである。新鮮な挑戦者を迎え今年の名人戦が手に汗握る好勝負を繰り広げてほしいと心から願う者である。

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2007年1月31日 (水)

決戦の日

 将棋の名人戦が毎日・朝日の共催になった結果は、ファンとしては一応寿ぐべきだろう。当初、連盟が毎日新聞との契約を一方的に破棄したことにアカショウビンは呆れ、怒った。それは毎日を虚仮にする行為だったからだ。将棋界の仕組みをご存知でない多くの方に詳細は省くが、非は将棋連盟にあったことは明白である。その「難局」を凌いだのは将棋連盟の米長会長の「勝負手」だった。朝日との共催という「奇手」が功を奏した形になったわけである。最悪の結果は毎日新聞が共催を拒絶し将棋連盟と袂を分かつことだった。将棋ファンとしては共催を受け入れた毎日新聞の度量に心から拍手を送る。

  米長会長がおっしゃる通り将棋は日本の文化である。事は団体、組織の面子を超えて将棋という伝統文化を守り育むことに帰着しなければならない。小中学校で授業の中に取り入れていこうという東京都の教育委員でもある米長会長の提案にアカショウビンは賛同する。石原都政に賛同しなくても米長会長の大胆な提言は好しとする。

 ところで明日2月1日は名人戦挑戦者レース(順位戦という)の8回戦である。最終戦の前だが、これが面白い。トップを走るのは郷田九段。イケ面である。将棋も本格派だ。その後を追うのが谷川九段と羽生王将。8回戦はこの両者がぶつかる。郷田九段が勝ち谷川九段が負けると最終局を待たず森内名人の挑戦者は郷田九段に決まってしまう。谷川九段ファンとしては残念である。ここは何としても天敵羽生王将を負かして最終局に望みをつないでほしい。

 というわけで明日は将棋ファンにとって興味津々の日なのである。夜は将棋連盟に駆けつけ大盤解説を謹聴したいのだが仕事で山梨へ出張。結果は明日の夜に判明する。

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