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2020年7月 6日 (月)

世界法廷を機能させよ

 きょうは先日友人のI くんに差し入れてもらった文庫を読み喝を入れる。マルコムXの演説だ。『アメリカの黒人演説集』(荒このみ編訳 岩波文庫 2008年11月14日)所収。暗殺される一年たらず前、1964年4月3日、オハイオ州クリーヴランドのコリー・メソディスト教会で行われた。「The Ballot or the Bullet」(投票権か弾丸か)というタイトルだ。かつてスパイク・リー監督の『マルコムX』を観てから参考文献を幾つか読んだ。その中にこの文庫はなかった。よい機会だ。アメリカ全土で黒人差別反対運動が継続している。暢気な日本人でいるわけにもいかない。この体調でデモに行くわけにもいかないが、共闘の思考だけは表明したい。

 映画の中で主演のデンゼル・ワシントンが演説する。「デモクラシー(民主主義)なんて姿を変えたヒポクラシー(偽善)だ」。それはこの文庫でも確認した。マルコムXの演説は痛烈だ。それは人種差別なかんずく黒人差別の国、アンクル・サム(アメリカ政府)の国の歴史を抉り告発、弾劾する。それがタイトルに集約されている。

 「そうだ。私はアメリカ人ではない。アメリカ二ズムの犠牲者、二千二百万人の黒人の一人だ。民主主義なんて姿を変えた偽善だ。私は今、アメリカ人としてあなたがたの前に立ってはいない。愛国主義者、国旗敬礼者でも旗振り扇動家でもない。とんでもない。私はアメリカン・システムの犠牲者として話している。犠牲者の目でアメリカを見ている。アメリカの夢など見ていない。アメリカの悪夢を見ている」(同書p291)。

 マルコムXは、このアメリカの罪を人権無視の罪として世界法廷に提訴しようとした。世界法廷とは国連である。国連の無力は歴史が証明している。しかし、カントや賢人たちが追求したモデルとしての世界法廷は実現なかばとしても諦めることは許されない。共闘の声、怒りの声を挙げようではないか。真の世界法廷の実現を目指し。

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