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2019年11月 5日 (火)

或る世界的ベストセラー

 皆さんが想像するだろう作品とは全く異なる作品である。アカショウビンも友人から知らされるまで全く知らない著者と著作だ。なにせ発刊されたアメリカ合州国でも約百三十年くらい絶版になり忘れ去られていた。世界の殆どの人々が、知らなくてあたりまえの著者と著作である。

 『ある奴隷少女に起こった出来事』(ハリエット・アン・ジェイコブズ著)。翻訳者の堀越ゆきさんのあとがきによるとKindleの世界古典名作ランキングで11位だそうである。Kindleがいかなる団体で如何ほどの権威があるかアカショウビンは知らない。しかし、それなりのものなのだろう。そういう世界的ベストセラーなのである。

 読み終えて、他の有名な作品の読後感の恐らくどれとも違う感想を世界中の多くの読者がお持ちになると思う。この作品を少女時代に読んでいたら間違いないなく違う、その後の人生を歩んだだろう、と訳した堀越さんも書いておられる。それは日本人女性として率直な感想と思う。

 いずれにしても、多くの皆さんに読んでいただきたい著作である。アメリカ合州国の、合衆国ではない国の差別の人生のどん底から生き残った黒人女性の記録は読み終えた人それぞれの行動、生き方を変えるだろう。

 この作品を読んだのは友人との電話だった。アカショウビンが、この数カ月、何度か観た『私はあなたのニグロではない』(ラウル・ペック監督)の感想を話すなかで紹介されたのだ。アメリカ合州国での奴隷制と黒人差別は、この近代の歴史過程で覇権国家にまでのし上がっだ恥の歴史を現在まで残している。それを通覽すれば現在に生きる私たちにも他所ごとではない。かつてのカウボーイ国家が世界のあちらこちらで愚劣な所業を繰り返すのを市民や国民は見過ごさない。それは我が日本国でもそうだ。各地で声が挙がっている。アカショウビンも日々の労働の合間に声を挙げる。その連帯こそが不可欠で専制の体制に風穴を開けるのだ。

 一人の黒人女性の人生を私たちは残された書物で辿る。そこからハンナ・アーレントの説<活動>と<行動>が実行されなければならない。

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