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2019年8月15日 (木)

画家の復員

 香月泰男という画家を特集したNHKの番組を観たのは1995年だったかもしれない。代表作、「シベリヤ・シリーズ」と題された作品群は驚愕した。先の大戦に従軍し生還した一人の画家の眼差しはアカショウビンに痛烈な告発のメッセージとして伝わった。それは先年、町田の美術館で開催されたときに実作に対面した浜田知明の作品とも呼応する。香月の故郷、山口県三隅町の「香月記念館」は一度くらいは訪れたいと思ってきたが未だに叶わない。『シベリア鎮魂歌―香月泰男の世界』(立花 隆著 2004年8月30日 文藝春秋社)を古本屋で見つけたのは昨年だった。ところが、本棚に並べておいたままになっていた。それを読みだしたのは一昨日からだ。お盆休みで仕事がない不安もあり、気力がわかない。きょうは台風10号の余波で天気も悪い。しかし読みだしたら実に面白い。まだ通読していないが、戦後74年、この日に何か書いておくのも一つの縁というものだろう。

 香月がシベリヤ抑留から復員・帰国したのは36歳、1947年5月である。以来、シベリヤの収容所体験を戦後描き続ける。優れた画家の眼差しと作品はかくの如しという作品がここにある。それを通し戦後74年を振り返ることは戦後世代に不可欠と確信する。この著作は著者渾身の作品として公刊されたことが出版までの経緯を読むと実感する。

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