« 朝の読書 | トップページ | 甘くはなくて、苦みのある »

2019年6月 7日 (金)

泣く中島みゆき

 東京新聞夕刊に掲載されている加藤登紀子さん(以下敬称は略させていただく)の〝この道〟は興味深く読んでいる。昨日は第47回。中島みゆきとの出会いが書かれている。アカショウビンの歌姫たちの一人、中島みゆきは同世代の稀有の歌姫だ。若き頃の「時代」は同時代を生きるアカショウビンには愛聴するオペラ歌手たちに勝るとも劣らない作品として今も時に口ずさむ

 1975年当時の人気歌手二人の出会いはそういう意味で実に興味深いのだ。二番目の出産をひかえた加藤に中島みゆきは加藤宅を訪れ持参したギターで「夜風の中から」を歌ったという。その二年後に「わかれうた」が大ヒットした。加藤は中島を「革命的な大スター」と賛す。その言や好し。それは決して褒めすぎではなく、中島という歌い手はそれほどの歌い手なのである。それを加藤は直感している。加藤のライブに中島が訪れステージの袖に身を潜めで聴いているという回想も驚く。二度テレビで共演したらしい。二度目の時はフジテレビの「ミュージックフェア」だったという。その時歌ったのが「ホームにて」。途中から中島みゆきが泣きだしたという。歌のシーンがそのまま伝わってくるような瞬間を加藤はありありと思いだすと書く。この曲が帯広を舞台にしているということも初めて知った。この歌の抒情は格別で卓越している。中島みゆきという歌い手のやわらかくも凛とした感性が伝わる名曲だ。加藤は「途方もなく広い大地、深い孤独。彼女の、誰にも無い闇の濃さが好きだ」と書いている。加藤の中島みゆきへの最大のオマージュである。アカショウビンも同じ思いで深く共感する。

|

« 朝の読書 | トップページ | 甘くはなくて、苦みのある »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 朝の読書 | トップページ | 甘くはなくて、苦みのある »