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2019年5月16日 (木)

ファンタジーとレクイエム

 ドリス・デイの訃報に続き、京マチ子の訃報が続いた。ドリス97歳、京95歳、共にご長寿で何よりだ。東京新聞は京の評伝も掲載している。出演作品の幾つかが想い起こされた。意外な事実も知った。『羅生門』で眉をそって演じ監督を驚嘆させたという。あの黒澤が驚嘆するほどの女優なのである。代表作は溝口の『雨月物語』と『羅生門』と思う。歳を経て出演した作品も幾つか想い起こされるが記事には仲代達矢さんと山田洋次監督のコメントもある。俳優になる前からのファンだったという仲代さん、『男はつらいよ』(1976年 シリーズ第18作)でヒロインで登場した時の山田監督の回想「息を吞むような美しさ」というコメントも名女優への最大のオマージュだ。同作品も観直してみよう。ドリス・デイは『知りすぎていた男』(1956年 ヒッチコック監督)で歌った「ケ・セラ・セラ」が大ヒットし日本語の歌詞でも歌われた。アカショウビンのジャズ歌手列伝では上位にこないが、「センチメンタル・ジャーニー」(1945年)は名曲だ。ともに映像作品で楽しませて頂いたことに心から哀悼する。

 


表題の〝ファンタジー〟とは、先日借りてきて観た大林宣彦監督の『この空の花 長岡花火物語』で繰り広げられる、溢れるばかりの映像の印象である。東日本大震災と先の大戦の長岡空襲にまつわるエピソードは大林監督の死者たちへのレクイエムだ。その空襲は新潟市への原爆投下の予備爆撃であったという事実も初めて知った。現今の政治情況への監督のメッセージが伝わる佳作だ。たまたま古本屋で梯(かけはし)久美子さんの『散るぞ悲しき 硫黄島総指揮官・栗林忠道』(新潮文庫 平成20年8月1日)を読んでいて、先の大戦の事実も新たに辿っている。  

 見事な死にざまと生き方がある。余命のある間に読み続け、書き遺しておかねばならぬ事は多々ある。日々の労働に疲弊しながらその時間を作らねばならない。そして縁あった友人・知人たちとの出会いと別れにも時間を割かねばならない。本日は長く勤めた会社の仕事の縁で出会った企業のオーナーの現役引退の会に出席させて頂く。娑婆での縁は出来る限り失礼のないよう心がけたい。しかし十全とはいかぬ。機会を逃さぬようにせねばならない。

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