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2019年5月 3日 (金)

批評の極北

 塚本邦雄が亡くなり十数年、今年二月に全作品が文庫で再刊された。この短歌作者は鋭い批評家でもある。『百句燦燦』は、現代俳諧頌の副題が付いた百人の作家の作品評である。この一行一行が塚本渾身の批評眼として実に面白く痛烈で我が精神を刺激する。全五章に分けて塚本流の作品評が読める。底本は2001年、ゆまに書房刊の全集第15巻の評論Ⅷ。

 ありうべき最高の美学は虚無として生涯徹底した反リアリズム、と紹介文にある。その立場には諸氏異論はあろう。しかし、その眼力と文章は異彩を放ち余人を寄せつけぬ力量を示す。まさに稀有の作家、批評家と確信する。余生の間に全作品を昧読はできないだろうが読み齧る時は設けよう。それもまた冥土への土産だ。

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