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2019年3月26日 (火)

小澤征爾のカルメン公演

 友人から小澤氏がかねてよりで継続している若手音楽家たちを薫陶する公演を京都で行ったというニュースがNHKであったという事を知らせて頂いた。聞けばそれを東京でも行うらしい。友人は小澤氏の姿に愕然としたと言う。全部を指揮することができず一幕だけの指揮だったらしい。しかし指揮台にたつと矍鑠としていたとも話してくれた。演目がカルメンと聞いてアカショウビンには腑に落ちるものがあった。アカショウビンが若い頃に二期会で行った公演がカルメンだったからだ。若い小澤が師のカラヤンからオペラをやれといわれ、それまで関心の薄かったオペラに取り組み場数を経るなかでカルメンはその契機となった作品ではないかと推する。アカショウビンはリハーサルも見た。奥様やご家族たちもそれに来ておられた。ダブルキャストのカルメンは伊原直子さんと西 明美さんだった。大学を卒業し就職した先が二期会事務局だったのでそのリハーサルにも付き合ったのだ。学生の頃にモーツァルトのオペラにはまり込んだアカショウビンにカルメン公演は実に心躍るものだった。当時も今もそうかもしれないが二期会はドイツオペラ、藤原歌劇団がイタリアオペラとされていた。事務局の先輩達は皆さんがそうでなくとも互いにライバル意識があった。ワーグナーの演出にたずさわった方はイタリアオペラを〝ぶんちゃかちゃっちゃ〟と揶揄していた。それにアカショウビンはいやな感じをもった。なぜならモーツァルト作品に心酔していたアカショウビンにはヴェルディの作品も興味の対象だったからだ。たまたま就職した先が二期会だったわけで、その公演がカルメンだったことは偶然のようなものといえる。 二期会も藤原もない、日本のオペラ公演に当事者として参加できることがアカショウビンにはありがたいことだったのである。小澤氏の来歴は若い頃のブザンソン優勝いらい本で読み知っていた。その〝武勇伝〟は実に面白く、世界と伍する才能の現実に小澤氏を介してアカショウビンも共有したことは奇遇と好機だった。

 或る事情でアカショウビンは二期会を辞めたが、その後もオペラには現在まで継続している。小澤氏はその後、フランスで新たな録音を行った。カルメンはジェシー・ノーマン。その録音はメイキング映像もあり、小澤氏の指揮と共に何度も見聞きし小澤氏のオペラ作品に親しんできた。ガンとの闘病で苦闘する小澤氏の苦境もテレビで知った。しかしその熱情は洋の東西を問わず周知のものだ。その現在に小澤氏の熱意が伝わる。若手の薫陶にボストン響時代から継続する様子はNHKで知った。その現在が京都で継続していることはアカショウビンのガン罹患で他人事とも思えないのだ。その公演も映像で残されることを期待する。今や晩年の小澤氏の現在の仕事は世界の音楽ファンにとって関心の的である筈だ。アカショウビンはカルメンの様々な録音をCDや映像で楽しむ。それは残り少ない娑婆での冥土の土産の如きものである。

 先日はアカショウビンが偏愛するフィオレンツァ・コッソットのカルメンもCDで購入した。フェニーチェ歌劇場での1971年4月22日のライブである。イタリア語のカルメンは少しとまどいもするがコッソットのカルメンは格別。ドン・ホセはマリオ・デル・モナコ。観客の熱狂も伝わる。これまた冥土の土産である。若きコッソットの強靭な声はアカショウビンにとって最高のカルメンともいえる。これまた冥土の土産である。数年前、暮れから新年に来日した映像でご壮健の様子も見られたことは幸いだった。いまだ御存命と思われる。ご長寿を心から賛したい。

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