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2019年4月 1日 (月)

英国映画の秀作

 昨日、友人から頂いた招待券で『マイ・ブックショップ』(2017年 イザベル・コイシェ監督)をシネスイッチ銀座で観た。久しぶりの銀座で少し迷ったが、ちょうど午後2時40分の上映に間に会った。この映画館も久しぶり。地味だが佳作、秀作を厳選して上映する好感のもてる貴重な、劇場というより映画館なのである。周囲は高級店がしのぎを削り新たな店も多い。それはともかく、作品は実に静謐で、女性監督らしい細やかな配慮のいきとどいた佳作、秀作だ。舞台は英国東部の海辺の小さな街。1959年の時代設定で原作は英国ブッカー賞受賞の作品という。

 映画の快楽とでも言える雰囲気を湛えた時空間がそこにはある。一軒の書店もない田舎町で書店を営む決意をした美しい女性の奮闘を作品は物静かに淡々と描く。あまりの心地よさに途中居眠りもした。その部分は改めて観直したけれども。引きこもりの老人と若い未亡人との淡い恋も物語の伏線として味わい深い。英国映画だが制作にスペインとドイツの協力も記載されている。

 予告で興味を惹いた作品が二つ。ジャン=リュック・ゴダール監督の新作『イメージの本』とフォン・シャオガン監督の『芳華』。88歳のゴダールの作品は必見である。「私たちに未来を語るのは〝アーカイブ〟である」というゴダールのコメントはゴダールらしい。アーカイブとは古文書(こもんじょ)である。それは映像も小説作品も広く芸術にはそういう要素が〝未来〟への通路を開示するという意味にも取れる。同時代を生きる老巨匠の片言隻句は熟思しなければならない。『芳華』は文化革命という負の歴史の歴史を背負う中国という今や米国と対抗し覇権国家をめざす大国の現在と過去を映像で観る好い機会である。これまた楽しみな作品だ。

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