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2018年12月25日 (火)

シューベルトの遺作

 この若くして逝った天才の作品の或る箇所は現在のアカショウビンに恩寵のように響く。ピアノ・ソナタのD959の二楽章、アンダンティーノは晩年のシューベルトのいかなる心境から楽譜に留められたのか?繰り返し聴いてシューベルトという人の心の闇のような深淵の周りを辿る思いで聴く。この天才の生きた時代はベートーヴェンが作品を公開していた時だ。それにこの天才は鋭く反応した人々の一人だ。その作品がベートーヴェンと拮抗しあるいはそれを凌ぐと言ってもよい作品を残したことは私たち後世の人間の至福と言ってよい。もちろん、ベートーヴェンは楽聖と讃えられる偉大な作品を残した稀有の音楽家である。しかし、それは一人の苦悩多き人生を生きた、当時も現在も巷にいる人間達の一人である。シューベルトしかり、モーツァルトしかり、それは音楽の領域に限らない。先日、作品に挑発されたジョルジュ・ルオーしかりである。その作品が当時も後世の私達をも熱狂させ、鼓舞し、沈思させ、生きる意味を問う契機を促す。それはそれを聴く私たちには今や消え失せた時間のなかで観て聴けば、かつて在った名残りの如きものであるとしても私たちは現在を生きる糧とすることができることは幸いである。

 本日はブレンデルの録音でそれを確かに聴いた。

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