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2018年10月31日 (水)

茂吉考②

 茂吉の歌を読むときに塚本邦雄の解釈、論考は不可欠である。『赤光』の表題由来が浄土三部経であることは『茂吉秀歌』(1993年 講談社学術文庫)にある。仏説阿弥陀経の極楽の描写である。それで茂吉は第一句を詠んだ。北 杜夫こと次男、宗吉が父親のときに揶揄されると回顧する茂吉作品に多く現れる「しんしん」という表現がある歌である。

 ひた走るわが道暗ししんしんと堪えかねたるわが道くらし

 暗しとくらしの相違に作者の思いが込められているように思われる。それは青年茂吉が師の左千夫の死の報を知り込めた思いであろうからである。

 師弟の間に明滅する情愛、敬愛とは相克も経てかくの如きものであろう。それは他者には測り知られない深淵ともいえる。

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