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2018年7月22日 (日)

座れ

 橋本 忍さんが亡くなられた。100歳とはご長寿で何より。大往生であろう。東京新聞では、 弟子の中島丈博さん(以下、敬称は略させて頂く)に記者が取材した記事が掲載されている。中島が橋本に師事していたことは、この記事で初めて知った。その経緯で、24、25歳ころ師が弟子に仕事への姿勢を「一日八時間は机の前に座っていろ。まず座ることから始まり、書き続けてものになっていくのだから」と教えたという。立っていいのは昼食時とトイレに行くときだけ。これが面白い。まるで禅の修行のようではないか。道元なら只管打座というところだ。そこで何かが生じてくる。その何かと正面し捉え交流することで言葉や文字にすることができる。そのような人の生と存在の不可思議が何かに道を作るということだろう。脚本でも小説でも映画製作でもジャンルは異なっても創造とはそういうものということだろう。中島の脚本で出来上がった『祭りの準備』は秀作だった。原田芳雄はじめ出演者たちも熱演で改めて観たい衝動に駆られる。橋本の教えの賜物といえる。中島が最後に会ったのが死の一日前というのも師弟の別れを彷彿させる。今や82歳の弟子と師匠の今生の別れは格別で哀切だったろう。

 先日亡くなられた浜田知明といい橋本といい、百年生きた人間の仕事は、繰り返し己の中に受容し発信し生きる力としなければならぬ。暑熱のなかへばってはいられないではないか。映像と声、音楽で活力を得るのだ。とりあえず、『七人の侍』を観て橋本 を追悼しよう。

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