« 浜田知明の作品群③ | トップページ | 過去と未来の間 »

2018年5月21日 (月)

アトム化とは何か

 今朝の東京新聞朝刊の〝こちら特報部〟でハンナ・アーレントの著作が重版を重ねているという記事を興味深く読んだ。アカショウビンも昨年からハンナの著作を読み続けているからだ。みすず書房は昨年『全体主義の起源』と『エルサレムのアイヒマン』の新版を発刊したらしい。アカショウビンは先日来、『過去と未来の間』(1994年 みすず書房 引田隆也・齋藤純一共訳)を読み続けている。雑誌に掲載されたエッセイ(試論)の改訂増補版である。1954年から1967年にかけて発表した8つのエッセイが編まれている。

 その前には『カール・マルクスと西欧政治思想の伝統』を通読した。戦後、ハンナがマルクス研究に取り組んだ成果が両書には読みとられる。

 ハンナの基本スタンスは「西洋の政治思想の伝統は、プラトンとアリストテレスの教説に明白な始まりをもつ。わたしはこの伝統は、カール・マルクスの理論のうちで同じく明白な終わりを迎えたと確信する」、と『過去と未来の間』の第1章「伝統と近代」の冒頭で述べている一文に集約されている。

 〝アトム化〟とは、ナチスの全体主義的支配を招く大きな要因となったのは、ドイツの第一次大戦での敗戦後に顕著になった「階級社会の崩壊後に出現した大衆だった」と分析した。他人とのつながりをもたない、バラバラになって〝アトム(原子)化〟した状態が大衆の特徴という視角だ。これは興味深い指摘だ。なぜなら、それはライプニッツのモナド論とも通底する分析だろうからだ。その学殖は師のヤスパースやハイデッガーの示唆を経ていることは言うまでもない。その分析と指摘は日本でも歴史を振り返り反芻しなければならない思索である。

|

« 浜田知明の作品群③ | トップページ | 過去と未来の間 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: アトム化とは何か:

« 浜田知明の作品群③ | トップページ | 過去と未来の間 »