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2017年12月19日 (火)

少し速く

 日曜日のNHKテレビでキリル・ペトレンコ指揮のマーラーとワーグナーが素晴らしい演奏会だった。マーラーは、「さすらう若人の歌」。独唱はマティアス・ゲルネ。かつてシューベルトの「冬の旅」をブレンデルの伴奏で聴いたのではなかったか。ワーグナーを歌ってもよい大柄な人だ。小柄なペ卜レンコと対照的。顔を真っ赤に熱唱する姿はペトレンコやオーケストラに応えたものであることが映像でわかる。CDでなく映像の面白さである。

  それにしてもペトレンコの表情と両腕の動きが素晴らしい。この指揮者が、いかに作品を知悉し、オーケストラと実に良い関係で交感しているのがわかる。マーラーで指揮者と歌い手は作品の奥底を抉っているように思えた。オーケストラはバイエルン国立歌劇場管弦楽団。ヨッフムやクナッパーツブッシュとの録音も聴き直したくなった。ベルリンやウィーンとは異なる個性的なオーケストラだ。アカショウビンはかつてサヴァリッシュ指揮の来日公演でモーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」を聴いたことを思い出す。ミュンヘンなどと同じく、中央から距離をとって音楽風土を培ったオーケストラだ。続くワーグナーの「ワルキューレ」一幕の演奏会形式の演奏が久しぶりにワーグナーの血肉の通った演奏を聴く思いがする名演だった。独唱者達も素晴らしい。観客たちも感動を真摯に伝えてソプラノ歌手は涙ぐんでいた。それほど素晴らしい演奏会だった。アカショウビンには正しく冥途の土産である。
 表題は、モーツァルトのピアノ協奏曲11番の二楽章に付けられた速度指定である。ラルゲット。ラルゴより少し速く。この協奏曲は初めて聴いたような。何とも優雅で、ウィーンの宮廷に美しく響いたと思われる。宇野功芳さんの先日の本には解説がない。近いうちにアインシュタインの解説にあたってみよう。
 本日は築地の病院ヘ。手術は来年早々になる。年賀気分にはなれない年明けになりそうだ。これも現世の宿業の如きものだろう。それを受け入れ一日一日を過ごすのが凡夫の日常だ。

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