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2017年2月 2日 (木)

オリバー・ストーン監督の最新作

  オリバー・ストーン監督の最新作『スノーデン』を観てきた。米国の新大統領に振り回される私たち日本人や当の米国始め諸外国など「世界」が、どういう現状にあり、どういう現実と現在にあるかに暫し考える時を与えてくれる快作に仕上がっている。公開から間もないとはいえ新宿の劇場が満席というのも驚いた。
 取り合えず簡単に感想を書いておこう。
 2時間以上の長尺だが先ず冒頭のスノーデン氏がCIAに職を得る前に在籍していた海兵隊でのシーンがスタンリー・キューブリックの秀作『フルメタル・ジャケット』のパクリ(オマージュではあろうが)であることが面白く、この作品にかける監督の意欲と才覚を改めて納得した。それからCIAにめでたく採用されてからの経緯も現代の情報産業、情報戦争の最先端を活写し刺激された。ベトナム戦争を兵士として経験した監督の、米国という覇権国家の過去と現在とアジアはじめ諸外国との関わりの過去と現在は、その後の監督の映像作品を観て一貫する問題意識となっている。それが本作でも現在の社会と鋭く交錯し切り結ばれていることが確認できた。それには何より脚本でその名を世界に知らしめた『ミッドナイト・エクスプレス』(1978年 アラン・パーカー監督)を観直さなければならない。そのあとの『プラトーン』など一連の作品より本作は『ミッドナイト~』と密接に呼応していると思うからだ。それは一人の国民が国家と濃密に関わる関係の特異性と苛烈さとも言える。

 話は飛ぶが、アカショウビンは、先日新聞のコラムで或る短歌に痛烈な刺激を受けた。<くろ鉄(かね)の窓にさし入る日の影の移るをまもり今日も暮らしぬ>。これは独房の中で死を覚悟した女性のものである。「大逆事件」で処刑された管野須賀子の辞世である。『ミッドナイト~』と『スノーデン』の主人公も幸い国家から処刑されることはなかったが106年前に一人の女性は国家によって短い生涯を終えさせられた。そのような事もオリバー監督の作品は思い起こさせる。
 それと併せて、私たち人間が日常生活の急激な電脳化と国家間の情報戦のなかに取り込まれて生きている現実と現状を監督は緻密に再現した。この作品は、私たちが生きている現在と「世界」の将来と未来を熟思するために新たな思考を励起しなければ、という刺激を与えてくれる秀作といえる。

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