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2016年6月22日 (水)

宇野功芳氏追悼

 先日亡くなられた音楽批評家、宇野功芳氏の西洋クラシック音楽の水先案内ともいえる恩義には礼を尽くさねばならない。昨日、新宿に出た機会にレコード・CDショップに立ち寄り幸い氏が編集長を務めた本と指揮したCDを購入した。本は未読、CDは以前聴いた。本は氏の遠山一行氏へのインタビューが興味深かった。

 CDは新星日本交響楽団を指揮したベートーヴェンの第7交響曲イ長調 作品92。1997年、サントリー・ホールでのライヴ。これは何とも宇野節全開の名演。人によっては拒絶もされる演奏だろうがアカショウビンは敢えて名演と判じる。それは通常の聴き慣れた演奏とは隔絶する箇所があちらこちらに聴けるからだ。1楽章のポコ・ソステヌート-ヴィヴァーチェと指定された楽章の途中で音楽は今にも止りそうになる。通常はオーケストラが生き生きと闊達にテンポを速める箇所で指揮者は逸る馬や犬を制御するようにオーケストラを抑制する。そこが宇野節である。私はベートーヴェンのスコアをこのように解釈するという断固たる意志が貫かれている。これを拒絶する者は音楽を聴く資格を持たぬと言ってもよい。それほど氏の解釈は独特だ。しかし、それが音楽でも文学でも敢えて言えば思想、宗教でも〝解釈〟の解釈たる所以だろう。それを実感する演奏である。それは氏が敬愛するフルトヴェングラーやワルター、クナッパーツブッシュから学んだ事である。それをアカショウビンは讃嘆する。

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