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2015年11月23日 (月)

リハビリの日々の収穫

 先週の金曜日、高校時代以来の友人N君のお手配で小栗康平監督の新作、「FOUJITA」を有楽町の劇場で一緒に観てきた。平日とはいえ半分以上の入り。2時間6分の長尺は病み上がりのアカショウビンには少々きつかった。しかし小栗監督、10年ぶりの新作とあって特に日本ロケの映像美は入魂の息を飲むが如し。N君とは観終わって近くのベトナム料理屋で一杯やってお礼と感想を述べた。昼食を食べていないN君はビールと鶏肉のフォー(ベトナム風の春雨うどんというところか)とベトナム風カレーを食べ、おいしいと喜んでくれた。

 3連休はどこへも行かずダラダラと過ごす。そのなかで若い友人のK君からはメールで辺見 庸氏の新作の知らせもありインタビュー記事など興味深く読ませていただいた。新作は南京虐殺事件に関するものという。昨今のユネスコ絡みの反中国の声に対抗する論説としても興味津々だ。また堀田善衛氏の、南京事件を扱った「時間」という小説も復刊されたらしい。辺見氏の著作は連載されていたのが「週刊金曜日」というのも納得した。朝日新聞の記者時代の中国レポートで物議を醸した本多勝一氏が発刊する週刊誌だからだ。その感想は近いうちに。

きのうから雨で朝の散歩もパス。そこで先日、友人のIさんが録画して郵送してくれた、小澤征爾氏が主宰し長野県の松本市で毎年開催されている「サイトウ・キネンフェステバル」の模様を映像化したDVDを繰り返し見て感銘。我が国が生んだ、この稀有の指揮者の80歳の誕生日を世界の縁ある音楽家たちが祝う姿を見る悦びは私を俄かナショナリストにする(笑)。その指揮者の評価がデビュー当時は洋の内外の評論家たちからボロクソだったのは何故か?それは、歴史を振り返ればよくあることだろう。しかし、これだけ世界的な評価と日本のマニアックな音楽ファンの間にある隔たりとは何か、と熟考したくもなるが、それはさておく。


 
 しかし、今年の松本のフェスティバルが小澤の80歳を祝い盛り上がった様子がよくわかった。特にベートーヴェンの「合唱幻想曲」などという久しぶりに聴くプログラムをマルタ・アルヘリッチと小澤(以下、敬称は略させて頂く)、サイトウ・キネン・オーケストラが共演する企画もあって何とも盛り沢山のフェステバルだった。その一端を映像で楽しめる幸いを友人に感謝した。


 
 戦後に小澤征爾という指揮者を生んだ日本の音楽界は世界に誇れる達成点を示したと確信する。それは小澤がウィーン国立歌劇場の音楽監督になった時に頂点を極めた。また小澤音楽塾の若い弟子たちの成長の一端も番組は伝えている。小澤が師の齋藤秀雄ゆずりの優れた教師であることも映像がよく伝えている。小澤チルドレンが世界にいる幸いを言祝ぎたい。

 
 
 齋藤秀雄という稀有の師匠から受け継いだ音楽教育は小澤や生徒たちに結晶した。それは戦後日本が達成したこれまた稀有の成果と言ってもよい。そのメソッドが本場ヨーロッパにも通用することを小澤や弟子たちは証明した。音楽は世界の国境という境界を取り払い、開く力をもつ。その成果が来年も更に実り多く結実することを心から願う。本日は2002年のニューイヤーコンサートのDVDを見て楽しもう。

 

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コメント

先ずは退院 御目出度う御座います。これからも大変でしょうが‥。
小澤の名前が出てましたが若かりし頃の映像を見つけました!
https://youtu.be/Up1xKWChoD4

投稿: F164 | 2015年11月25日 (水) 午後 10時19分

F164さん コメントありがとうございます。朝の散歩をしながらヨタヨタとリハビリの毎日をおくっています。不思議なものでいつも見る風景がゆっくり歩いていると違ったものにみえます。この世の見納めということなのでしょうか。一木一草を眼に焼き付けて冥土の土産にしたいと思います。それにしても小澤さんの情熱には頭が下がります。ご紹介ありがとうございました。

投稿: アカショウビン | 2015年11月26日 (木) 午後 05時01分

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