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2015年11月18日 (水)

レンタルDVDで幾つかの映画

 ここのところ、退院以来の〝慣らし運転〟といった日常である。たまに都心に出る。先日も友人の事務所へ行き、仕事の打ち合わせを兼ねて囲碁を一局。その後、秋葉原まで行き仕事関連のショップで説明を聞く。また量販店でパソコンソフトを見た。その後、友人とは別れ図書館へ行き本を借りて帰った。手術後のリハビリで出来るだけ歩くようにしているが昨日は歩き過ぎの感は否めない。しかし、これくらいが良いのかもしれない。

 ところで、好きな映画もゆっくりレンタルで借りて観ている。昨日は、「地の群れ」(熊井 啓監督)を観た。井上光晴の原作。脚本を原作者と監督が二人で書いている。原作は未読だが、練り上げられた脚本。冗長の感もあるが原爆差別や部落差別、在日韓国人差別といった重いテーマを扱い最後まで緊張は持続させた力作だ。井上の原作の映画化は黒木和雄監督の「明日tomorrow」がある。先日はテレビで山田洋次監督の新作、「母と暮せば」のメイキング映像を放送していた。広島と長崎と舞台は違えど山田監督は黒木監督の同作や、あるいは新藤兼人監督、今村昌平監督の作品も意識していたかもしれない。それにしても、近年の大型劇場にかかる日本映画はそのような重いテーマを扱った作品が実に少なくなった。

 その前に観た、「私の男」(熊切和嘉監督)は男女の重いテーマを扱っている。原作は人気作家らしい桜庭一樹。俳優は浅野忠信、二階堂ふみ、藤 竜也他。腰の据わったキャメラと、まったりとした物語展開がそれなりの緊張感を醸し出している。音楽のジム・オルーリという人も作品に寄り添って悪くない。

 このような少し息苦しいテーマから逃れるには「男はつらいよ」シリーズに限る。「男はつらいよ 拝啓 車寅次郎様」 は、 ヒロインにかたせ梨乃、牧瀬里穂を迎えたものの、佳作の幾つかとは趣の異なる何やら解放感に欠ける作品である。当時リアルタイムでは観ていないなと思った。滋賀の長浜市の古い街並みは同シリーズ得意のロケーションだが、アカショウビンの気持ちのうっ屈もあるのだろう少し不満が残った作品だった。しかし、「男はつらいよ 寅次郎の青春」は面白い。ヒロインは風吹ジュン。舞台は九州・宮崎。満男の恋敵(永瀬正敏)の登場も宮崎弁が面白く、なかなかの物語展開で楽しめた。

  「キューバの恋人」(黒木和雄監督)は黒木監督没後を追悼してDVD化された作品である。制作には竹中 労も加わっていたり若き黒木監督やスタッフの意気込みがよくわかる作品だ。しかし興行的に成功したとは思われない。泉下の黒木監督には恐縮だが、キューバ革命に熱狂した日本人が現地で即興的に拵えた凡作と言ってもよい。当時のフランスのヌーベルバーグ風のカットは散見されるものの思いつきの感は否めない。

 「神田川 淫乱戦争」(黒沢 清監督)は、日活のロマンポルノ路線の中での、これまたヌーベルバーグ風の、今風の言い方をすれば〝こじゃれた〟作品。随所にゴダール風のカットが出てくる。しかし全編に漂うぎこちなさ、稚拙さは物真似、実験映画風の域を出ない。

 面白かったのは「リターン・トゥ・アース」(エリック・ピコリ監督)。カナダ映画のようだが「2001年宇宙の旅」以降のSF映画で佳作と思われる仕上がりの作品だった。昨今のテロや近未来の核戦争も織り込んだ内容は宇宙空間の映像も秀逸。カナダのケベック州などフランス語圏の制作者たちと思われる感性が米国映画にはない味わいを醸し出している。

 今週は友人のN君の取り計らいで小栗康平監督の新作「FOUJITA」を観に行く。久しぶりの都内の劇場で楽しみだ。

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