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2015年7月10日 (金)

体験版 医療の現在⑧

 朝、雨は降っていないが、梅雨空の下、小学生たちが黄色い帽子を被って通学する姿が5階の病棟から見える。彼らや彼女たちは豊かな未来の可能性をもつ存在である。朝もっと眠っていたいのを母親に起こされいやいや起きて朝ごはんを食べ登校する。うなだれて歩く姿にそれが垣間見える。その可能性を子供たちばかりでなく多くの大人たちも日常生活では忘れている。病になり入院・手術し患者となり初めて、その可能性に気付くのだ。

 病棟の朝は食事の30分前に熱いほうじ茶のサービスで始まる。斜め向こうの病室の御老人は苦しさに毎度のように叫びだす。それも日常のひとこま。若い看護師たちの明るい声がそれを打ち消しありがたい。

 この病室には4人の患者が入れ替わり立ち替わり出入りする。アカショウビンが一番若いのではなかろうか。スペースは広すぎるくらいだ。ベッドもリモコンで枕元や全体の高さを調節できる。入院前から食欲の出てきた体調からすると物足りないが規則正しい食生活は体調回復には役立っているだろう。

 きのうの大腸内視鏡検査は大阪でやった時に比べて麻酔が適度に効き痛みは殆どなかった。ポリープが一つあったが切除せずに様子を見ることに。友人からの情報では機器はオリンパス製が多いそうだ。先日のもそうだった。ひところマスコミをにぎわしたメーカーだが技術は世界レベルである。アカショウビンも一眼レフカメラのアナログ時代の名器OM-1は欲しかった。現在の後継機種もいいが失業者には高価である。それはともかく世界的なカメラメーカーが内視鏡でも評価され採用されているのはよいことだ。しかし問題は扱う人間である。昨日とこれまでの検査の結果は本日の夕方、主治医のN先生から説明される。肺と大腸はたいしたことなさそうだったが問題は胃ガン、肝臓、腎臓である。不安がないといえば本当かと疑われそうだがあまりないというのが本音である。生還し多少の時間があれば娑婆での生には起承転結をつけられる。東日本大震災、歴史的には沖縄戦や原爆、南方戦線で戦いもせずに飢えて死んでいった兵士たちのことを想えば十分な検査・治療を受けられて満足しなければならないからだ。

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