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2014年10月 9日 (木)

物理学と技術

   日本人三名のノーベル物理学賞受賞に水を差すわけではないが、ハイデガーは『野の道での会話』で次のように語っている。

   学者  ですから技術は応用物理学なのです

   賢者  私が申し上げているのは逆のことです。物理学が技術であるとすれば、それは、理論物理学が本来の意味での純粋な技術であるからなのです。

  学者 そうしますと、あなたは技術という言葉を通常とは違った風に理解しておられるわけですね?

   賢者  たしかに私は<技術>ということばを通常とは違った風に理解しているのでしょう。但し、意識的にそうしているのではありません。むしろ 私が注目しようとしているのは、物理学が理論的であること自体がどういうことなのかということなのです。

   学者  ですから、理論物理学の本質の定義を避けて通ることはほとんどできないのです。と申しますのは、理論物理学は、実験的に行われるわけではありませんし、したがって機械は使わないということを確認するだけなら、それは消極的な定義に過ぎないからです。理論物理学の本質が何であり、どのようにしたら、その本質を根拠づけることが可能かということについて語るのは難しいことです。(『野の道での会話』所収 アンキバシエー  科学者と学者と賢者による野の道での鼎談  p12)

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