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2014年5月20日 (火)

広島の原爆ドームと平和記念館を訪れる

 原爆ドームから記念館まで歩いていたら、途中に草野心平が1978年8月に訪れた時に記した石碑がある。

  天心の三日月の上に

  幻でない母と子の像

 これこそ永遠の平和の象徴

 童子よ母の愛につつまれて

 金のトランペット吹き鳴らせ

 天にも地にも透明な

 平和の調べ吹きおくれ

 どんな未来がこようとも

 頬っぺいっぱいふくらまし

 No・more・irosimaの

 金のトランペット吹き

 鳴らせ

 記念館に至る間には巨大な蘇鉄が植わっている。陽が高くなる前の空気は少し肌寒いくらいだ。生き残った被爆者の多くの人々があの記憶を思い出したくないと言う。何と当日の写真は3枚しかない。新聞記者が撮ったものという。映像は一切残っていない。

 最近の「美味(おい)しんぼ」論争でも同様に、そのような苛烈な記憶を脳裏から消し去りたいというのは先の大戦で殺し合いの現場を経験した兵士達にも同じだ。しかし人の業はそれを許さない。それは懊悩とも悶絶ともいった言葉では尽くせないが人が記述する言葉でその文を介して苛酷な体験が書き残せる。なぜなら、人という生き物は、あるいは存在は言葉という家に棲むからだ。そこで全精神を最大限に働かせて究極まで辿りつこうという意志と辛苦が不可欠なのだ。

 次に、峠 三吉の詩を写す。1963年8月6日 三宅一子

 ちちをかえせ ははをかえせ

 としよりをかえせこどもをかえせ

 わたしをかえせ わたしにつながる

 にんげんをかえせ

 にんげんのあるかぎり

 くずれぬへいわを

 へいわをかえせ

 この叫びを心底から聴き取らねばならぬ。そこには聴く者の想像力が試される。

 snokeyさんのご教示で黒字を修正させて頂いた。ありがとうございます。心から感謝し、御礼申しあげます。

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コメント

草野心平の詩、此処に有りました。他人のブログですが貼って置きます。
http://spiritualife2012.blog86.fc2.com/blog-entry-1855.html

投稿: snokey | 2014年5月21日 (水) 午後 07時10分

行け無いかな?

此処なんですけど。
これで見られるかな?

投稿: snokey | 2014年5月21日 (水) 午後 09時44分

 snokeyさん、ありがとうございます。午後に大阪へ移動しなければならなかったので朝の8時半頃からお昼前までの滞在でした。ホテルから路面電車を降りてドームに辿り着くと元安川の対岸で女性達がフラダンスの練習に興じていました。遠目でしたが、何とも優美な踊りに暫し見惚れました。その時間はドームの地獄と対照的で現在の広島の復興の奇跡を知る思いでした。心平さん(あえてそう呼びたくなるほど好きな詩人なのです)の訪問の跡に遭遇したことだけでも再訪の大きな収穫でした。ご教示ありがとうございます。

投稿: アカショウビン | 2014年5月22日 (木) 午前 12時54分

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