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2014年4月20日 (日)

アンジェイ・ワイダ監督の「ワレサ 連帯の男」を観る

 アンジェイ・ワイダ監督の最新作「ワレサ 連帯の男(2013年)」を観てきた。岩波ホールの最終回に間に合った。客の入りは半分足らず。おかげで良い席でじっくり観られたのは幸い。当時の実写映像を巧みに使いリアリティーを醸し出しているのはさすがだ。出世作の「地下水道」(1956年)、「灰とダイヤモンド」(1958年)から現在まで長寿を生き祖国の歴史を映像に仕上げてきた仕事を同時代で確認できることは実にありがたく敬服するばかりだ。

 1968年の「プラハの春」から東欧は共産主義・ソ連の強大な力に圧迫され続けた。1970年12月12日から17日まで食料品の値上げでバルト海沿岸の諸都市で労働者が抗議し軍と流血の政治闘争が繰り広げられた。ポーランドでは1976年6月24日に同様の事件が起き、多数の逮捕者が出た。その間の経緯をワイダは「大理石の男」(1977年)で作品化した。日本で公開されたのは1980年。その頃に独立自主管理労組「連帯」がワレサを委員長に発足している。

 その頃、日本語にも訳されたオリアナ・ファラチの「ワルシャワは訴える クレムリンを狂気にかりたてる男」が「文藝春秋」1981年6月業に掲載された。ワイダ作品は、このオリアナのワレサへのインタビューの様子を元に展開される。「鉄の男」が公開されたのは1981年5月。「連帯」の代表団が日本を訪問した年だ。その年の12月にワレサは国家から軟禁され、ワイダはポーランド映画協会長の座を追われる。

 作品は1990年に統一労働者党(共産党)が解党しワレサが大統領に就任するまでをもって終わる。その間、ワイダはワレサと袂を分かつ。しかしワレサという、妻や子供達を愛した一人の電気工が労働者の先頭に立ち、したたかに国家権力と闘った姿をワイダは見事に描いている。ポーランド現代史3部作の完結篇だが、もう一作観たい。我が新藤兼人監督の歳まで長生きすれば3作は制作出来る筈だ。「悪霊」に続く「白痴」「カラマーゾフの兄弟」のドストエフスキー3部作はどうだろう。

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