« 今年を振り返る | トップページ | 或る人の誕生の日に »

2013年12月24日 (火)

ターナー展を回顧する

 今回の展覧会で3品選ぶとすると「月光、ミルバンクより眺めた習作」(1797年)、「戦争、流刑者とカサ貝」(1842年)、「「平和‐水葬」(1842年)だ。水彩の達者な筆使いは画家の才覚と才能が横溢していて洒脱だが、晩年の2作品の色彩を重ねて独自の境地を表現した作品は画家が到達した境地を示して余りある傑作と確信する。初期の天才が晩年に奇跡のように結実したことを2品を凝視して納得した。「「流刑者~」のナポレオンの姿は画家の想像である。しかし、落剥した天才の姿が血の色とも妄想させる赤を基調とした作品の奥にある凄惨を彷彿させる。対照的に「平和~」は印象的な黒が友人の水葬という悲惨を見事に象徴している。ここに画家の才能は究極していると言ってもよい。展覧会で並べられた2品の対照は鮮烈だった。それは何より初期の「月光~」を凝視すれば起承転結を得た結果としてアカショウビンには納得された。 

 ターナーが17世紀のオランダ絵画に大きな影響を受けたという説明もフェルメールなど光に格別の関心を示した画家たちの作品を想起して考えるとなる何やら腑に落ちるのである。専門家がターナーを美術史に位置付ける時は後の印象派の先駆けというものだろうが史的な位置づけはともかく画家の視線の深さは、そのような表層的なものでないことを作品に正面してアカショウビンは納得した。

|

« 今年を振り返る | トップページ | 或る人の誕生の日に »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/111335/58810747

この記事へのトラックバック一覧です: ターナー展を回顧する:

« 今年を振り返る | トップページ | 或る人の誕生の日に »