« 追悼と遺書 | トップページ | 日本ファシズム考 »

2013年5月 8日 (水)

魂と心

 昨夜、久しぶりに立ち寄った洋食店で夕刊の村上春樹氏(以下、敬称は略させて頂く)の公開インタビューの記事を読んだ。「魂のネットワークみたいなものを作りたい。人は魂の中に物語を持つ。それを、本当の物語にするには相対化が必要で、そのモデルを提供するのが小説家の仕事」(朝日新聞)。これは正確かどうか定かでないが村上は述べたらしい。毎日新聞は「『物語』とは人の魂の奥底にあるもの」の見出し。記事では「『物語』とは、人の魂の奥底にあるもの。心の一番深い場所にあるからこそ人と人を根本でつなぎ合わせることができる」と書かれている。ここで当然の如くに述べられている「魂」という語と「心」という語に今や世界的な人気小説家に変貌した作家の到達した境地が公にされて興味深い。「魂」とはドイツ語でゼーレ、「心」とは英語ではハート、ギリシア語ではプシケーあるいはアニマであるだろうか。

 それはともかく「人は魂の中に物語を持つ」とは小説家の我田引水ではないかと皮肉の一つも言いたくなるが、これは検証するに値する断言と思われる。また村上がユング派の精神分析家として生涯を終えた河合隼雄の言説、あるいは論説にも深く影響されたという事もアカショウビンには興味深い。これは西洋哲学の「存在論」とも絡んでくる領域に小説家が踏み込んでいることとも思われる。そのうちインタビューの全容が知らされるであろうから更に再考したい。

|

« 追悼と遺書 | トップページ | 日本ファシズム考 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/111335/57335837

この記事へのトラックバック一覧です: 魂と心:

« 追悼と遺書 | トップページ | 日本ファシズム考 »