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2013年2月26日 (火)

「東京物語」と「東京家族」

 先週の土曜日、招待券を戴いたN君と会い、お礼を兼ねて一杯やりながら「東京家族」の感想を話した。日曜日は山田洋次監督がオマージュを捧げた小津安二郎監督の「東京物語」をレンタルDVDで久しぶりに観直した。やはり何度観ても味わい深い作品だ。笠 智衆の役を「東京家族」では橋爪功氏(以下、敬称は略させて頂く)が演じているが、笠の老いの枯れた演技というのか姿と振る舞いは実に独特で改めて見て感慨を新たにした。橋爪のアクのようなものが笠にはない。小津に徹底して鍛えられたであろう笠という稀代の役者の持つ何事かが作品を見れば、こちらを挑発してくる。

 「東京家族」の配役と物語が山田流に翻案されているのは「東京物語」で末娘の香川京子が演じた役を隣の娘に代え、大阪志郎を妻夫木聡に、寡婦である原節子を妻夫木の恋人である蒼井 優に変えているところだ。また「東京物語」での故郷が尾道から「東京家族」では瀬戸内海の島に変えられている。そのような山田流の設定の変え方も作品を新鮮な味わいにしている。戦後の小津作品に通低している戦争の陰がないのは或る意味で両監督が生きた時代の違いでしかないともいえるだろうが、その違いは我々が想像する以上に作品の秘める陰影に影響しているようにも思われる。それは改めて考察してみよう。

 ドイツのヴィム・ベンダースはじめ諸外国の優れた映画監督に注目されて今や世界的な巨匠に祭り上げられた小津の代表作ともいえる作品のリメイクに挑戦した山田監督の敬意は何度か見直して新たな感慨が湧き出ることと思う。

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