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2013年1月 6日 (日)

星めぐりの歌

 「あなたへ」(降旗康男監督)の中で宮沢賢治の〝星めぐりの歌〟を久しぶりに聴いた。田中裕子が童謡歌手として、夫の健さんとの思い出の曲として歌うのが心に沁みた。映画の中では歌詞を味わう間もなく進行するのでネットから書き留めておく。

                                  あかいめだまの さそり
                                  ひろげた鷲の  つばさ
                                  あをいめだまの 小いぬ、
                                  ひかりのへびの とぐろ。

                                  オリオンは高く うたひ
                                  つゆとしもとを おとす、
                                  アンドロメダの くもは
                                   さかなのくちの かたち。

                                   大ぐまのあしを きたに
                                   五つのばした  ところ。
                                   小熊のひたいの うへは
                                   そらのめぐりの めあて。

 ★賢治が仰ぎ見た天空の世界が言葉として留められている。そこで何事かが表現される。それは読む者それぞれの感想があるだろう。アカショウビンが中学生のころ親にねだり天体望遠鏡を買ってもらい暫し土星や木星の惑星や星団を眺めていたのを思い出す。賢治が望遠鏡を使ったか知らないが、夜空に詩人は想像力をはたらかせ、此の世と天空の物語を文字に残した。

 映画の中では田中裕子が、それを声にのせ歌う。それが心に沁みた。作品はロード・ムーヴィ仕立てで極上のものとは言いかねる。しかし幾つかのカットには降旗監督やキャメラマンの思いが込められている。高倉 健という俳優を中心に或る何事かが表現されているのは看取した。それはアカショウビンの中で時間と共に変化し熟成するだろう。その貴重を大事にしたい。

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コメント

昨秋に、吉永小百合、高倉健、クリント・イーストウッド、それぞれ主役の映画を観ました。
半世紀以上もの長い映画人生で、まだ主役を張れるその生き様に敬意を表したいと思いました。
存在感のある役者は、時代の変遷があっても、その存在感で対峙できるのだと思いましたが、、、。
「あなたへ」と「北のカナリヤたち」は、ストリーのみが流れて人間描写の掘り下げの薄さに不満が残りました。「星めぐりの歌」は、田中裕子は歌も歌える人なんだと感心しました。竹田城跡は素晴らしいところですね。天空と下界の間に位置して。(機会があったら行ってみようと思います。)

「人生の特等席」この題名のつけ方に日本人のセンスのなさを感じました。「TROUBLE WITH THE CURVE」の方が含みがあって心にしっくりします。父と娘の葛藤を描いたもので、いい映画だと思いました。イーストウッドの人生の年輪ともいうべき顔や首の味わいのある皺と声に80年以上を生きてきた男の堂々たる静かな姿勢に感じ入りました。娘を演じたエイミー・アダムスもいい演技をしていました。
師匠(アカショウビンさん)に感化を受けてまたお導き頂いていた2008年以来月1回の映画鑑賞はその後もずっと続いており、とても感謝しております。

投稿: 若生のり子 | 2013年1月25日 (金) 午後 01時35分

若生さん、コメントありがとうございます。

 >「人生の特等席」この題名のつけ方に日本人のセンスのなさを感じました。

 ★日本人というより翻訳者と配給会社のナンセンスさですね。原題は作品の内容を象徴させてナルホドと思います。かつての野球少年には米国の野球事情が知られて実に面白い作品でした。「北の~」、「あなたへ」と比べれば、こちらのほうが粋で味のある大人の映画という印象でした。それからすると邦画2作品は、あまりにも生真面目ですね。それはそれで悪くないのですが3作品の比較ではそう思いました。

 >イーストウッドの人生の年輪ともいうべき顔や首の味わいのある皺と声に80年以上を生きてきた男の堂々たる静かな姿勢に感じ入りました。娘を演じたエイミー・アダムスもいい演技をしていました。

 ★同感です。クリント・イーストウッドは本当に見事な歳のとりかたをしていますね。それからすると先日亡くなった大島渚は晩年の壮絶な闘病生活があはれでした。映画が撮れない悔しさは本人がもっとも自覚していた筈です。しかし作品が死後も人々を挑発、啓発するというのは優れた作品を残した作家にとって幸せなことだと思います。
 ところで「あなたへ」の高倉・田中の夫婦役を観て以前の作品で夫婦役を演じた同じ降旗監督作品「ホタル」(2001年)が観たくなり、昨夜レンタルDVDで観直しました。こちらも夫婦の情愛が細やかに描かれています。物語は先の大戦を絡ませて歴史を振り返させ味わい深かったですよ。

投稿: アカショウビン | 2013年1月26日 (土) 午前 05時26分

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