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2012年11月 4日 (日)

水俣の現在

 NHKで水俣病と生涯関わった原田正純医師のドキュメンタリー番組を見た。この数年、石牟礼道子さんを追ったNHKのドキュメンタリー番組で水俣病の患者さんたちの現在を見て「苦海浄土」を読み直したり、渡辺京二氏の著作で改めて水俣病への関心が憤りと共に間欠泉のように噴き上げる。ユージン・スミス氏の写真集で見た坂本しのぶさんの姿は繰り返し見て此の世に地獄は存在している事を伝えている。そのしのぶさんの56歳の現在を番組で見られた。彼女を含めた生存している患者さんたちの生は此の世の苦を痛烈に我々に突きつける。此の世とは何か?生老病死という人間の生きる段階を通じて抜苦与楽と説く釈迦の教えは彼らや彼女たちに、どのように響き、救いが与えられるのか?それは仏教哲学を超えて同時代を生きる我々に突きつけられている根本的な問いである。

 一人の医師と患者の交流の姿は医師が肝に銘ずる光景だ。原田医師は水俣の「事件」は100年たっても終わらないと断じて医師志望の若者たちに「水俣学」の継承を説く。その言葉の重みと提言には我々一人一人が向き合わなければならない。南米のアマゾン流域での水銀中毒は水俣病が日本の一地域だけの事件ではないことを明かし衝撃的だ。それは原田医師が言う医学だけの問題ではなく権力や国家と結びついた社会問題として扱わなければ全貌は捉えられない。今やパーキンソン病を患う石牟礼道子さんの姿と作品と共に原田医師の言説と行動は後に続く我々が継承しなければならない根本的な問いを突きつけている。

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