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2012年1月 4日 (水)

新年好!

新年はウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートで音始め、というのがアカショウビンの近年の習慣である。楽員、指揮者、会場の紳士・淑女の表情を眺めながらアンサンブルを楽しむ。間にはバレーも。それは録音・録画といえど極上の贅沢というものだ。今年は数年ぶりにマリス・ヤンソンス。初登場の時は曲目の選択が面白かった。今年は会場にジュリー・アンドリュースの姿が見られたのも間違いではあるまい。ご健在で何よりだ。若き頃の面影は十分に残っていると拝顔した。D・バレンボイムの時は子供達のバレーと動き、表情が何とも愛らしく、健気で美しかった。

DVDショップで2002年の小澤征爾氏の映像が安く発売されていたので喜んで購入。テレビでヤンソンスを観たあと改めて楽しんだ。10年前の小澤氏は既に還暦を過ぎている。しかし演奏が熱を帯びてくると指揮ぶりにも若さと勁さが漲ってくる。その10年後に病と格闘するような未来は思いもつかなった筈だ。あの時は奥様が日本人のコンサート・マスターのキュッヘル氏が日本語で挨拶し、大陸生まれの小澤氏が中国語で「新年好」と挨拶したのだった。小澤氏の指揮はオーケストラも楽しませている風があった。会場には夫人とお嬢さん、ご子息の姿も見えた。終演後は会場の多くが総立ちで、前年の9・11の悲惨を改めて年を革む如き何とも素晴らしい年の初めになった事を思い起こす。

さて今年は如何なる年になるだろう。気分は暗中模索というところだ。それでも一条の光が射す時と場所を求めて生きる。それが新年の覚悟としておく。

昨年は近しい人や映像や録音で出会った幾人かの死の報も聞き伝えられた。遺族の方々とお会いし冥福を祈った。新しい年を生きるということは、それらの人々の記憶と思い出、志を受け継ぐことでもある。昨年から約40年ぶりに読み直した石牟礼道子さんの「苦海浄土」は改めて此の世の苦の生き様を読み取る。それはアカショウビンの精神、魂を激しく共振させる。今年は、改めて、そのような諸々を背負うて生きねばならぬ。娑婆の苦楽は心置きなく、思い合わせて祈るしかない。

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