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2011年7月20日 (水)

原発と田中正造

 4日の毎日新聞の夕刊3版で原発問題に鋭い言説・論説を提示している小出裕章助教に取材した記事が掲載されている。「私が最も敬愛している人です」と氏の研究室には田中正造の晩年の写真が大きな「ついたて」となって掲げられている写真と共に。「原発には都会が引き受けられないリスクがある。そのリスクを、都会の住人は社会的に弱い立場にある過疎地の人々に押しつけている。仮に原発事故が防げても、原子力を使い続ける限り核のゴミ(放射性廃棄物)は増え続けるし、人間はそれを無毒化できない。私たちの世代は、自らの利益のために、選択権のない後世にその『毒』を押しつけているのです」。その言や好し。その毒と小出氏の言説・論説は足尾銅山の鉱毒事件と生涯戦い続けた田中正造の毒と生涯と反照し響き合う。

 氏は参考人として出席した5月23日の参院行政監視委員会でガンジーの七つの「社会的罪」を挙げたと記者は書いている。残りは書かれていないが「道徳なき商業」と「人間性なき科学」である。前者を東電、後者を自らも含めたアカデミズムに当てた、と記事は続く。重ねて、その言や好し。それは「水俣」にも共通する歴史的現実である。「科学の進歩」と言う歴史的区分での「近代」のスローガンの含む意味と事実が鋭く問われているのだ。

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コメント

小出先生は、開口一番この最悪の事態に陥ったことを阻止できなかったことに科学者としての責任を涙ながらに詫びられました。
メールで3.11以降あまり眠れないとお聞きしておりましたのでとても心配しておりました。4月にイベントでお会いしました折には眼が落ち込んで痛々しいほどやつれておられ、何といっていいか言葉が出ませんでした。
「来年までスケジュールがびっしりです」とおっしゃっていました。3年前に大病を患っていらっしゃいますので、体調を崩されないかととてもとても按じております。
科学者には、稀有な「心」のある暖かい方です。

投稿: 若生のり子 | 2011年8月 1日 (月) 午前 03時38分

 若生さん、コメントありがとうございます。心ある科学者の誠実さは貴重なものです。それは学者の仕事が人という生き物の心を通じて発されていると思えるからです。私は氏の論説を人間の持つ「良心」という語で理解します。それは語る人の姿と声から殆ど理解、実感できるものでしょう。もちろん語られ説かれる内容を検証する必要があります。ネットで散見する多くの論説は玉石混交です。その中で玉を選択し読み取るには、こちらの知的レベルが問われます。原子力に関して私は素人レベルです。しかし様々な論説を辿り、科学者たちが示す領域と哲学や形而上学という領域を跨いで思索、考察すべきことを今回の原発事故を介して人間たちは問われていると思います。

投稿: アカショウビン | 2011年8月 1日 (月) 午前 05時59分

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