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2010年10月 6日 (水)

ささやかな奇遇と幸せ

 本日、仕事で長野県の飯田市での三日間の出張から帰宅。転職してから何と出張の多いこと。覚悟していたとはいえ、若い頃ならともかく中年のオッサンに疲れは溜まる。しかし役得もある。昨日はレンタカーでクライアント先を回っていると何と椋 鳩十記念館があるではないか。懐かしい名前である。小学生の頃に教科書か図書館でか作品を読んで覚えた作者の名前だった。その作品が何だったか。200円の入場料を払い入った記念館の展示品を辿っても、これかというものは見つけられなかったが、写真で温厚なお姿と向き合い子供時代の良き読書の機会を与えてくれた作者に感謝した。

 氏は飯田市近くの喬木村阿島で生まれ、長野県立飯田中学を経て法政大学を卒業。その後は代用教員として種子島で暮した、という経歴は記念館の氏の略歴表で初めて知った。その経験と体験から作品を書き始められ、先達に認められ世に出た。才能を見抜いたのは大宅荘一と里見 弴、ということも初めて知った。展示品の中には椋氏の作品を賛嘆する里見の手紙も展示されていた。

 アカショウビンが小学生時代に氏に興味を持ったのは、氏が鹿児島に住んでおられ図書館の館長を勤めながら鹿や猿など動物達の生き方を作品化されているという事だった。だから当時は鹿児島の人だと思っていた。中学生の頃は島尾敏雄という作家が同じ市内に住んでいるという担任の教師の話から小説を書いて生きている人々に興味も涌いたのだった。

 かつて訪れた島尾の故郷、福島県相馬の荒涼とした風景とは異なり椋の故郷は天竜川流域の豊饒な実りに恵まれた見事な景観の土地だった。遥か彼方の飯田の街並みや天竜川沿いの光景が眼を和ませてくれた。

 仕事の合間のひと時の時間だったが娑婆での奇遇と幸せを体験できたことを悦ぶのである。帰りは飯田から高速バスの中で一杯飲んで惰眠を貪った。

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