通天閣
昨年4月に大阪に転居してから1年4カ月、大阪の名所・旧跡を訪れることは少なかった。今年の6月以来勤めた仕事先は堺市にある。千日前線から難波で南海線に乗り継ぎ出勤する。途中に通天閣が見える。そこには将棋道場があり訪れたのは20年以上30年近く前だった。都内の道場と異なり料金は時間制。囲碁盤もおいてあった。何番か差して感想戦のときに「歩」のことを「ひょこ」と言うのが面白く可笑しかった。学生時代に新宿の将棋道場に通うのがアカショウビンの楽しみだった。家族が大阪に越してきて暮れから正月を過ごすおりに一度訪れたのだ。坂田三吉翁ゆかりの土地を訪れることは将棋ファンの礼節というものである。
先日、仕事の帰りに不意に南海線の「新今宮」という駅を降りた。案内では徒歩で約15分という通天閣に向かった。途中、人が会場の外に溢れている道路側に開け放たれている教会も覗いた。不況で神にすがる人々も多いのだろう。クリスチャンでない人々もいると思われた。通天閣に着くと以前来た時の記憶は殆どない。将棋道場がどこにあったかも定かでない。「餃子の王将」で食事を済ませ通天閣に昇る案内をしているオッチャンに将棋道場はどこかと訊ねた。すると道場は7年前に閉めたと言う。残念だった。しかし「空に灯がつく~」と村田英雄が歌ったアカショウビンにとっては大阪の聖地とも言える土地を再訪して幸いだった。本日で1年4カ月の大阪暮らしを切り上げる。幾つか将棋道場はあったがアカショウビンにとっては通天閣将棋道場が思い出の場所だ。そこが既に閉鎖したのであればこれから来阪する時に訪れることはないかもしれない。時は過ぎ人も去る。記憶と思い出は水霊の如く消え、時に再生することもあるだろうか。
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