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2010年6月24日 (木)

人間の條件

 何年ぶりだろう。小林正樹監督の「人間の條件」をレンタルDVDで見つけ観直した。全6部、9時間31分の大作を池袋の文芸座のオールナイト上映で観たのは学生時代だった。先の大戦の或る事実がどういうものか、モノクロクロームの映像に圧倒された。主演の仲代達矢(以下、敬称は省略させて頂く)の代表作と言ってもよいだろう。黒沢映画の悪役は小林作品で見事な主役を演じた。同じ頃に観た同監督の作品では「切腹」(1962年)に最も感銘した。その前1959年から一年に2部ずつ1961年まで3年かけて上映された作品を久しぶりに観直したことは先日の沖縄戦終結の地獄とは異なる、ソ連と満州の国境付近の辺境の地での戦争と軍隊の歴史を知ることである。 

 兵士として従軍した小林監督は宮古島で敗戦を迎え沖縄本島嘉手納捕虜収容所に収容された経験をもつ。監督は自らの経験を通して戦争の全容を描こうと意図したのだろう。後の「東京裁判」(1983年)にも通じる先の大戦への監督の執念が伝わる佳作だ。作品としての完成度は「切腹」を取るが、戦争へのこだわりと執念は、この作品と「東京裁判」に執拗に描かれている。

 監督はラストの主人公の表情を思い描いて仲代を抜擢した。当時を振り返った映画評論家・佐藤忠男との対談でコメントしていた。五味川純平の原作は当時のベストセラー小説だ。

 特典映像で編集を務めた浦岡敬一のインタビューも興味深い。作品が評価されれば監督に名誉が代表されるけれども編集技術というものが如何に重要な役割を担っているのかがよくわかる。

 現実を生きる中で映画作品や書物の虚構を介して歴史と相対する。それはまた現実へフィードバックされ現在のアカショウビンの現実を動かす。先の大田元沖縄県知事の新聞紙上でのコメントとも呼応し現実と歴史事実を解釈する機縁となる。沖縄は梅雨が明けたと聞く。大阪の梅雨明けは未だだが明けるまでに更に歴史を辿り続けたい。

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