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2009年11月 6日 (金)

音楽の愉悦

 何というオーケストラだろう。9月17日のウィーン・フィル来日演奏の様子をテレビで聴いた。素晴らしい演奏会だったようにアカショウビンは楽しんだ。しかしながら、その日は、母が此の世と幽明を分かつ状態で葛藤していた日である。アカショウビンも病院に泊り込み母の最期に備えていた。その日に、こんな演奏会が開かれていて後日録画で見る。何と奇妙で不思議な体験だろう。

 それはともかく。メータも白いものが目立つ歳になった。しかし額の深い皺と共に若い頃の美男がヘレニズム期のお釈迦さんの像のような風格を醸し出している。メンバーも音楽する悦びに満ち溢れている。バルトークの「管弦楽のための協奏曲」のコンサートマスターは小柄な魅力溢れる美しい女性だ。ファゴットも女性。以前の男だけのオーケストラに華やぎが添えられ団員も渾然一体のアンサンブルが素晴らしい。続くベートーヴェンの第7交響曲は正にリズムの饗宴だ。久しぶりに心躍る7番を聴いた。アンコールのウィンナ・ワルツの楽しいこと!メータの素晴らしいドライブでロールスロイスがスポーツカーのように疾駆するようだ。我等が音楽の自信と悦びの愉悦が伝わる。

 続いてトン・コープマンのバッハだ。

 中学時代に「誓いのフーガ」というタイトルでポップスに編曲されて繰り返し聴いた小ト短調も久しぶりに聴いた。この世に棲む日々は苦渋にも陥るが、このような音楽の愉悦に出会うことでもある。困窮の生活の中でこそ音楽の悦びは身に沁みるのかもしれぬ。窮迫の中で束の間の見事な音楽に浸れた幸いを言祝ぎたい。

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