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2009年9月 6日 (日)

老いの境地

 昨日は仕事を終えて夜に病院を訪れた。憔悴した母は熟睡していたが看護師さんが投薬で来られた時に目覚めた。しかし薬は飲みたくないと拒絶し話をするのも億劫な様子。本日は午後3時過ぎに病院を訪れ少し会話も交わした。しかし衰弱は進んでおり明日は主治医と面談を行い今後の相談をする。

 今朝の毎日新聞の書評欄では「誕生日特集」と称し音楽評論家の吉田秀和氏を特集している。氏は今年96歳、音楽専門誌には矍鑠と健筆を寄稿しておられる。仕事柄、最近の話題CDもしっかり聴いておられるようだ。先般は今や円熟の境地のピアニスト、マリア・ジョアン・ピレシュの最新CDでショパン演奏を分析・批評されておられる文章を読み感嘆した。

 氏のように高齢になり、それまでの仕事を更に深く掘り下げ未聞の境地へ分け入る人もいる。老いの境地というものがあると思われる。吉田氏のご長寿を心から言祝ぎたい。そして我が母の人生もかくありたい。母の楽しみは昨今の政治状況とテレビの歌謡番組、落語家の旅番組である。ここ数日は憔悴・疲弊しテレビを観るのも億劫になっている。しかしホスピス病棟の看護は手厚く、頭が下がる。あと何日生きられるか覚束ないけれども人生の最期が穏やかで安らかであるように最善を尽くしたい。本日の面会から帰るときの表情は実に優しげで安らかだった。

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コメント

ブログはいつも読ませて頂いていますが、母上のことを書かれた記事は、つい涙が出てしまいます。今、一番濃密な母と子の時間を過ごしていらっしゃるのですね。
アカショウビンさんが、まだ幼いとき、熱を出したり、お腹をこわしたりしたときに、傍で寝食を忘れて、じっと見守ってくださったお母様だったことでしょう。
今の一日一日が、お二人にとって、心安らぐ良い時間でありますように祈って止みません。

投稿: Clara | 2009年9月 7日 (月) 午後 04時53分

 Claraさん

 コメントありがとうございます。

 母親の愛情というのは格別なものがあります。それは産みの苦しみと感動を味わう女性ならではのものと思います。昨日は食事が取れなくなった状態で点滴を処置して頂き意識が朦朧としている時に話しかけたのですが何を喋っているのかわかりません。点滴に入れたという痛み緩和剤のせいでもあるようです。それにしても死へ向かう人間の心身の葛藤は凄絶なものです。

投稿: アカショウビン | 2009年9月 8日 (火) 午前 05時14分

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