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2009年4月 8日 (水)

狂と美

5日のNHKテレビ「日曜美術館」で曾我蕭白の特集をやっていたので面白く見た。新ホスト役の姜 尚中(カン サンジュン)氏とゲストの村上 隆氏の話も興味深く聞いた。

この破天荒な画家の作品に接したのは二十数年前に国立西洋美術館の常設展だったろうか。実に度肝を抜かれる衝撃だった。それは狂とも奇想とも思われる画である。昨年の夏は久しぶりに「対決 巨匠たちの日本美術」で大作をみることができた。若沖対蕭白、鉄斎対大観、いずれもアカショウビンがこよなく愛する画家たちの作品を面白く観た。若冲の洗練に対して蕭白は野趣というのか狂というのか、その迫力は画面が雄叫びをあげているようだった。画集のサイズでは、その迫力が伝わらない。

 番組では府中市美術館で蕭白の水墨画が展示されていると案内していたので会場を訪れた。「山水に遊ぶ 江戸絵画の風景250年」というテーマ。蕭白の大作は「山水図押絵貼屏風」という屏風に描かれたもの。ここには狂も奇想もない。実に水墨画の伝統を踏襲したもので専門家はともかく素人には蕭白と揮毫されていなければ誰のものかわからないだろう。それと「松鶴山水図」の一幅。これも素晴らしい。水墨のボカシで画面の遠近を描き二羽の鶴が鳴き交わしている姿は声が聞こえるようだ。谷文晁も素晴らしかった。北斎の晩年の「不二図」も観られたのはさいわいだった。

 美術館からバスで府中駅に戻り、せっかくなので近くの大國魂神社も久しぶりに訪れた。仕事のクライアントが近くにあり、ついでによく訪れたのである。今回は初めて、有名だという、しだれ桜も拝観した。美術館近くの桜並木も壮観だったが、こちらもナカナカ。入り口近くにはゴツゴツした巨樹がある。その見事さを見ると巨樹の生命力に驚かされる。人間の一生の儚さからすれば遥かに長寿の樹木の姿には思わず見とれてしまうのである。

 今月中に大阪へ引っ越すので、これが今生の見納めであろう。デジカメで撮影はしたが絵画と同じで実物に接しなければ凄さは伝わらない。それはともかく、こちらに居る間に見ておくべきものは見ておきたいと思うのである。同展も上野のフェルメールも、もう一度くらいは訪れておきたいのだが。

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コメント

初めて「群仙図屏風」を観たとき印象は、屏風の前で、三回転ぐらい宙返りをし、頭が下になり脚の間に入り、中国の技芸団のようにえびぞりになって手だけで全身を持ち上げて真っ赤になって観たいと思わせました。そんなことできるわけはないのですが(笑)

<入り口近くにはゴツゴツした巨樹>はmixiの写真を拝見する限り、欅だと思いました。
真ん中が割れているのでしょうか、腐り防止の為に、その中に特殊なセメントを入れているように見えますが。
樹齢何百年でしょうか、その年月を鑑みても気高い荘厳さ感じます。

総てのことはさておき、読み捨てならぬこと。

<今月中に大阪へ引っ越すので、これが今生の見納めであろう。>

本当ですか?weep

人生においての「大決断」をなさったのですね。

終の棲家を大阪と決められたのでしょうか?
それともご事情により、一時の事なのでしょうか?

確か学生以来関東にお住まいでしたでしょう。
アカショウビンさんの人生の大半ですよね。
さまざまな思いがソコにはお在りでしょう。

単なるミクトモが立ち入ったお尋ねをして誠に恐縮です。
続きはメールします。

投稿: 若生のり子 | 2009年4月10日 (金) 午後 01時16分

 >初めて「群仙図屏風」を観たとき印象は、屏風の前で、三回転ぐらい宙返りをし、頭が下になり脚の間に入り、中国の技芸団のようにえびぞりになって手だけで全身を持ち上げて真っ赤になって観たいと思わせました。そんなことできるわけはないのですが(笑)

 ★お気持ち、よくわかります。若生さんの、えびぞり・デングリ返りの姿が眼に浮かぶようです。
 去年は蕭白はもとより応挙も若冲も観られて幸でした。泰西名画もいいですが、やはり日本画だよな、と感銘新たでした。

 ><入り口近くにはゴツゴツした巨樹>はmixiの写真を拝見する限り、欅だと思いました。
 
 ★そうですか。もう一度訪れて確かめる機会があればよいのですが。
 
 >真ん中が割れているのでしょうか、腐り防止の為に、その中に特殊なセメントを入れているように見えますが。
 
 ★そうですね。割れて真っ黒く空洞ができていたと思います。

 >樹齢何百年でしょうか、その年月を鑑みても気高い荘厳さ感じます。

 ★同感でした。ぜひ出かけられて実物をご覧ください。JR府中駅から徒歩で5~6分というところです。
 
 >人生においての「大決断」をなさったのですね。

 ★いえ、いえ、そのようなわけではありませんが、成り行きというものでしょうか。

 >終の棲家を大阪と決められたのでしょうか?

 ★そうなると思います。

 >確か学生以来関東にお住まいでしたでしょう。アカショウビンさんの人生の大半ですよね。さまざまな思いがソコにはお在りでしょう。

 ★そうですね。二年前に仕事を辞めてから、その間に住み移ったところは大概訪れましたので思い残すことはありません、たぶん(笑)。

 >単なるミクトモが立ち入ったお尋ねをして誠に恐縮です。

 ★どういたしまして、若生さんのお気遣い有難く感謝致します。所は違いましてもブログやミクシイで交流できます。あちらでは関東以上に神社・仏閣を訪れる楽しみもあります。京都の河井寛次郎記念館も訪れて感想を綴るつもりですのでお楽しみに。

投稿: アカショウビン | 2009年4月11日 (土) 午後 10時22分

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