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2008年11月15日 (土)

川島雄三監督特集

 8日から池袋の新文芸座で没後45年の映画作家・川島雄三の特集を上映していて昨日の最終日の二本「喜劇 とんかつ一代」(1963年)「イチかバチか」(1963年)と前日の「接吻泥棒」(1960年)「夜の流れ」(1960年)と4本だけ観てきた。上映されたのは14本。他にも未見の作品があったが4本観られただけでもよかった。

 川島ファンでなくとも映画ファンなら「幕末太陽傳」は観ているのではなかろうか。日本映画史に残る作品である。アカショウビンは、この2~3年に川島作品がレンタルDVDで見られるようになり、その才能・才覚に改めて驚いた。早世したとはいえ映画産業華やかなりし頃に存分に才能を発揮したとも言える。筋萎縮症を患いながら45年の人生だった。

 亡くなる1963年の遺作が「イチかバチか」だ。傑作である。主演の伴 淳三郎の名演が光る。伴淳にとっても生涯の傑作数本に入るのではないだろうか。この年に、もう一本撮っているのが「喜劇 とんかつ一代」である。前者はモノクロ、後者はカラーで内容によってカラーとモノクロームを見事に使い分けている。後者は主演の森繁久彌はじめ錚々たる喜劇人名優が出演している。森繁と淡島千景の夫婦役も「夫婦善哉」(豊田四郎監督 1955年)を思い出させてくれる名コンビだ。加東大介、三木のり平、フランキー堺、山茶花究が脇を固めて秀逸。

 「イチかバチか」は城山三郎の原作を菊島隆三が脚本化した遺作というより傑作である。正直言ってタイトルであまり期待はしていなかったが実に面白かった。鉄に賭けた男の恐らく実話ではないだろうか、主人公を伴淳が見事に演じた。川島雄三の才能が随処に横溢していて飽きさせない。

 1918生まれの川島雄三は1938年に松竹に入社し戦中の44年に監督デビューした。既に病魔は進行していたようだが喜劇の名手として評価を得る。1954年、日活に移籍し57年、代表作の「幕末太陽傳」を撮る。それから6年、職人のように仕事を続け1963年、遺作の「イチかバチか」封切5日前の6月11日に逝った。日本映画界は、つくづく惜しい才能を失ったものと痛感する。時間と金があれば他の10本も観るべきだった。全作品も観たい。各映画会社の垣根を越えて全作品をまとめてDVD化してくれないものだろうか。

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