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2008年8月31日 (日)

久しぶりの「朝まで討論」

途中からだが、久しぶりに「朝まで討論」という番組を見た。見たくて見たわけではない。テーマは皇室問題で西尾幹二氏や猪瀬直樹氏らが出ていたので興味半分だった。特に西尾氏の発言で気になったことを二~三、思い出しながらピックアップしてみよう。

 番組の最後あたりに氏は顔を少し強ばらせながら、ここでこんな事を言うのは憚られるが(正確ではないが)、天皇陛下の病状(前立腺ガンの病後だろう)が決して順調ではない、と漏らした。また雅子皇太子妃は病気などではなく、この一年の間にケロリと復帰するであろう、確かな裏付けを自分は掴んでいる、と話した。氏の語調は、この番組で氏に向けられた批判に対抗するように、自分が書いたものが皇太子から好意をもって受け取られたことをも明かしながら、自負も込めて皇室サイドの情報に私は自信を持っている、と少しムキになった話し方だった。

 驚いたのは論戦の最中に自分は日本の国はアマテラスの血統をもつという神話を信じると広言したことだ。

 ほーぅ、そうなんだ、と思った。このニーチェ研究者で右派の論客として近年話題にもなる人は、そこまで踏み込む言説を吐くようになったのだ、というのが意外。なぜなら幾つか読んだ氏の著作は聡明なニーチェ学者でドイツの実情にも詳しく移民問題でも説得力のある提案をしていたことには共感を持っていたからだ。しかし、その後、教科書問題などで同調者たちと少しく過激な政治的立場に依拠している事をマスコミ情報やネットで伝え聞いた。そのような氏の言論活動は、学者が奇妙な隘路に入り込み自縄自縛に陥ったのではないか、と思えるものだった。氏は通常の大学教授というより有能な学者であり、文学批評や社会発言も積極的に行う「思想家」というのが業界での肩書きだろう。しかし、テレビでの話しぶりを見ていると、そういった高みにあって融通無碍という境地には程遠い、自説に拘泥する頑なで硬直した皇室のご意見番でしかない。ニーチェ学者にして天皇制の鵺にがんじがらめになっているのではないか、というのがアカショウビンの感想だった。

 この番組が先頃から話題になっている女帝の是非論と雅子妃の病気をめぐる甲論乙駁の巷のマスコミの言論とリンクしたものであることは明らかだ。番組を最後まで見ることになったのは最近読んだ保阪正康氏の「戦争と天皇と三島由紀夫」(朝日文庫 2008年8月30日)で氏と半藤一利氏、松本健一氏らとの対談等で話されている話が思い出されたからだ。 今や北一輝研究の第一人者として左右の論壇で発言力を高めている松本氏の論説はアカショウビンも長らく興味を持ち続けている。

 それはともかく。番組では司会者の田原氏も含め左右の論客たちの頓珍漢な言説を含め自由な論議が交わされている風情もあったが、喫緊で最重要な論点とは何だろうか、ということも問われている。それは天皇制の行方であるし国際情勢の中での国家の行方でもある。

 

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