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2008年6月10日 (火)

マイ・フェイヴァリット・アクトレス&アクター

 好きな映画監督は?と訊ねられれば即座に○○○、△△△、□□□と出てくる。いや▲▲▲も棄てがたい、■■■は?となって、それは楽しい。しかし、女優は?俳優は?となると暫し考えこむ。

 アカショウビンは、これまで俳優で映画を観ることがないイビツな映画鑑賞者なのであることにハタと気付いた。(以下の文中、敬称は略させていただく)

 とりあえず記憶の糸を手繰ってみる。このブログで以前に書いたけれども黒澤 明の「赤ひげ」は監督生涯の傑作であり、三船敏郎にとっても生涯の名演と確信する。また根岸明美が素晴らしい。そういえば先週の土曜日に池袋の「新文芸座」で“香川京子特集”の「杏っ子」(1958年)と「驟雨」(1956年)を観て来た。成瀬巳喜男の未見の作品だったので。「驟雨」に根岸明美が出ていた。タイトルから想像する内容とは勝手の違う、成瀬にしては珍しいコメディタッチの作品だが香川京子は前半に少し出演するだけ。佐野周二と原 節子の子供のない夫婦の姿を成瀬にしてはめずらしく乾いたタッチで演出している。根岸明美は「赤ひげ」の中での役とは雲泥の違いの“アプレゲール”(今や死語か)のわがままな人妻役だった。亭主役は小林桂樹。

 アカショウビンは香川京子の熱烈なファンというわけではない。しかし最近、たまにテレビや映画の予告で拝見する御姿には神々しいオーラを感受する。俳優もそうだが、人間の不可思議さは「品性」という言葉に、人間の持つ「可能性」の一端が現れる、と思うのである。何やら妙な言い方で恐縮。それは同様に駅の広告ポスターで拝見する吉永小百合にも感受することである。彼女らは、そのオーラを発している。まぁ、アカショウビンの妄想の類かもしれないが。

 ところで女優と男優である。

 その香川京子の名演は「赤ひげ」の狂女役であると確信する。若い頃は市井のお嬢さん役がぴったり、というのが常識的な意見であろう。小津安二郎監督の「東京物語」にしても、そういう扱いだ。しかし黒澤 明は、そんな常識などに捉われる才能ではなかった。あの作品では加山雄三が何とも血の通わぬ大根役者に見えたのは錯覚だろうか?

 今や世界の大監督になった張 藝謀の「初恋のきた道」のチャン・ツィイーも今や大女優だが、この作品での初々しさは本当に可憐で素晴らしかった。それは以前にこのブログで書いたので繰り返さない。

  こうしてアレコレ記憶を手繰り寄せると次から次ときりがなさそうだ。しかし、映画は監督で観る、というアカショウビンのイビツな姿勢が、俳優に視角を据えることで映画作品のもつ異なる姿が現れることも期待できそうだ。さらに記憶を辿ってみよう。

   黒沢の「生きる」の志村喬は賛じ尽くされた感があるので割愛。「切腹」(小林正樹監督)の仲代達矢は素晴らしかった。時代劇としても出色の作品だ。監督と俳優が力と技と智慧を絞りに絞った作品であることがひしひしと伝わる。

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コメント

「映画は監督で観る」、私も究極はそこに落ち着いてしまいます。

俳優が印象深くて、記憶に残る作品というのも多々ありますが、映画の作風や質を追い求めると、やはり監督の世界観、人生観というものが響いてくる製作姿勢に魅せられますね。

香川京子さんは、確かに『赤ひげ』の演技では鬼気迫るものがありますが、私の記憶の中ではちょっと例外的な作品で、むしろ『東京物語』や『ひめゆりの塔』などの控えめで慎ましやかな印象のほうが強いです。
『初恋…』のチャン・ツィイーは、まさにその年齢でしか演じられぬ可憐さと輝きを、不朽の映像記録に刻み込みました。

ついでなから私の好きな女優の映画は、『初恋のアルバム』のチョン・ドヨン。
『五辨の椿』の岩下志麻。『墨東綺譚』の山本富士子辺りです(古っ!)
あと好きな女優ではないですが、『天城越え』の田中裕子は良かったですね。

アカショウビンさんがファンと自負している沢口さんの映画は、いかがでしょうか?
なにかオススメをご紹介ください!

投稿: スタボロ | 2008年6月12日 (木) 午前 04時24分

 スタボロさん
 沢口靖子(以下、敬称は略します)は、ここのところテレビドラマで時々見ますが映画作品で拝見することがありません。女優として成熟してこれから成熟していくお歳になっていますから映画出演には慎重になっているのかもしれません。
 私は殆どの10代や20代の女優の未熟と稚拙な演技にはついていけません。例外はあるのでしょうが歳のせいでもあるでしょう(笑)。ところが吉永小百合や香川京子の成熟には匂うような色香を看取するのです。それは何も女優には限りません。見事に人生を成熟していると感服する女性、もちろん男性も男優もいます。
 田中裕子の新作も残念ながら見ていません。
できるだけ時間を見つけ街の映画館には足を運びたいのですが今年になり年収が激減し金銭的ゆとりと仕事に追い回されて時間的ゆとりがとれません。香川京子特集はもう一回くらいは行きたいのですが。 

投稿: アカショウビン | 2008年6月14日 (土) 午後 01時38分

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