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2008年6月29日 (日)

歴史の彼方

 毎日新聞の「おちおち死んではいられない」というシリーズの最終回(27日金曜・夕刊)は澤地久枝さんだった。近著では「琉球布紀行」(新潮文庫 平成16年)を興味深く読んだ。アカショウビンは御著作の読者というより、テレビに登場されるときの話や人柄に興味を持ってきたファンである。

 「琉球布紀行」では奄美大島紬にも一章を割かれておられる。アカショウビンの故郷の名瀬には二度、沖縄から飛行機で訪れられたという。64歳で亡くなられた、お母様の最後の衣装が大島紬だったとも書かれている。先の大戦での奄美出身の戦死者資料も持たれておられ、彼らが帰り得なかったふるさとを紬の特性をたしかめる目的で歩いた、とも。

 インタビューの前にインタビュアーへ新著が送られ、その帯には「いま、あなたに伝えたいことがある――」とあり、「希望と勇気、この一つのもの」(岩波ブックレット)には次の決意が書かれているという。

 「わたしの立場は、自衛隊を憲法違反の存在とし、日米安全保障条約の平和条約への変更、全在日米軍の撤退。つまり憲法本来の原点へかえしたい、というもの。実現不能の理想論とか、女書生の夢などと言われることは覚悟の上だ。今や世界有数の強大な軍事力をもつ自衛隊は、有権者によって正当に認知されたことがあるのか。わたしたちは諾否を問われたことがあるのか。答は、否でしかない」。

 その言や良し。昨年他界した小田 実とは40数年来の付き合いだった、という。

 今、小林多喜二の「蟹工船」がブームらしい。それに対するコメントも澤地さんらしい。「読むことはいいことだけど、かつて日本の歴史に何があったのか、今とどう違うのかは勉強しないと、小林多喜二が可哀そう」。また「黙っていたら破滅への道しかないわね」という言葉も。

 確実に世代交代は進んでいる。先の大戦の記憶もいつか歴史の彼方へと押しやられていく。戦争の砲声は、この惑星で止むことはあるのだろうか?

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