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2007年1月10日 (水)

悲しみ

 小澤征爾氏が大江健三郎氏との対談で、ヴェルディの「ファルスタッフ」とモーツァルトの「フィガロの結婚」という二つのコメディ・オペラを演じた後の感想として「何で音楽でコメディができたかというと音楽の根底には人間の情というものがあり、そのなかにはいつも悲しみがある」(取意)と話している。そして、それがあったからこそ「今度はそのなかから楽しい音楽というのが出たんじゃないか」と。なるほど。この前後の小澤氏の音楽観を通した語りは大江氏という分野の違う相手によって指揮者で音楽家のもっとも本質的と思われる個性が引き出され現われていると思う。

 アカショウビンは小澤氏と大江氏のファンである。といっても、両氏の演奏と作品を半分くらいも聴き、読んでいるわけではない。ただ、これまで幾つかの演奏、作品や雑誌、新聞の文章やドキュメンタリー映像を見聞きしてきて、いつの間にかファンになったというものだ。しかし、この「同じ年に生まれて」(中公文庫 2006年10月10日第2刷)という対談は実に面白い。2000年8月から12月まで3回に分けて行われたものを1冊にしたものだが、当時65歳の両氏の考えと若い人たちに託す思いが率直に語られていて実に楽しく刺激的。まだ途中だが改めて感想を書きたい。

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