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2006年7月22日 (土)

無常迅速

 先日、高校の同窓生が亡くなったと連絡が来た。肝臓ガンで入退院を繰り返していたという。彼とは高校の寮生活を1年間だけ共にしたが殆ど言葉を交わすことがなかった。しかし多感な高校時代に同じ釜の飯を食った縁は他の友人たちを通して深く冥福を祈るしかない。今生の生を共にした縁を卒業写真を紐解き追憶しよう。

 昨年は中学時代の友人をガンで亡くした。共通の友人のI君から電話をもらったときは愕然とした。彼とは何と一昨年、30数年ぶりに東京で恩師を迎え同窓会を開いた時に酔った勢いで故郷にいる彼と携帯電話で話をしたばかりだったからだ。彼は「友人たちと農業をやっている。農業は奥が深いぞ」と島グチの元気な声で話していた。その声が今も脳裏に残る。

 私たち3人は故郷の中学で3年間を過ごした。その後アカショウビンは東京へ、二人は故郷で高校生活を過ごした。私たち3人の共通の話題は一人のマドンナを巡る初恋物語とでも言えるだろうか。

 中学時代に女子の転校生がやってきた。なかなかの美少女で、多くの男子生徒が心穏やかでなかった筈だ。アカショウビンも移り気だが仄かな恋心とでもいった感情を持った。亡くなった友人が先ず告白した。彼は今で言うイケメンだった。彼がそうなら他の二人はアタック権は彼に譲るしかなかった。悪ガキ3人は話し合ってマドンナの住んでいるアパートを偵察することにした。遠くから、あれが彼女の住んでいるところか、と3人で確認し感に堪えない、とでもいうように頷きながら帰った。まぁ、どこにでもある、ほのぼのと甘酸っぱい初恋物語である。

 アカショウビンは高校で上京したので、その後の消息は帰省したときに彼らから少しずつ聞くていどで詳細は露知らなかった。大学を卒業しI君は出版社に就職した。ところが、会社が倒産してしまった。その後、高校教師に職を得て埼玉県の高校へ赴任してきた。東京で暮らしていたアカショウビンとも近くなったので、ある時ふらりとI君が訊ねてきた。校長の世話で結婚するのだと言う。アカショウビンは彼が紹介してくれた婚約者と3人で新宿の喫茶店で会い祝福した。その後に電話でI君の話を聞いて驚いた。彼は高校時代にマドンナと付き合っていたというのである。しかし大学が別々になり彼は京都の大学へ彼女は東京の大学と別れ別れになった。そしてマドンナには別の恋人ができた。I君は彼女から告白され悲しみに突き落とされたのだろう「最後に川崎の駅で会い話をして別れたよ」としみじみと話してくれた。多くの人生は、そういうものだろう。甘酸っぱくも狂おしい青春時代の一齣である。

 その後、マドンナも結婚した。I君もマドンナも子育てが終わりかけた歳になった。それでI君の斡旋により東京で一昨年、30数年ぶりの同窓会が開かれたというわけである。I君もマドンナも今や良い友人だ。昔話に花を咲かせアカショウビンも可愛がってくれた恩師や同級生たちと飲み歌いながら泥酔した。朦朧として楽しく時間は過ぎた。少年老い易く学成りがたし一寸の光陰軽んずべからず、である。

 アカショウビンの残りの人生もあとどれくらいなのか知らぬが人生は無常迅速。世に棲む日々に未練を残さぬよう過ごしたい、と切に思う。

 

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