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2006年7月31日 (月)

淺野 晃 詩集

 三島由紀夫が晩年まで深い関心を持ち続けた淺野 晃の定本詩集をインターネットで山形の古書店から購入した。淺野は日本浪曼派で保田與重郎らとも親交のあった詩人だ。三島は昭和三十九年に読売文学賞を受賞した「寒色」について次のように書いている。野々宮紀子さんの記述による。

 「ここには日本人の民族的悲歌の一つの頂点があつて、敗戦の歴史はどんな詳細な戦史よりも、この一冊の薄い詩集にこもつてゐるといふ感じを私は抱いた。(中略)この詩集の美しさは、憤りにある。潜在した憤りが噴流してゐる詩もあれば、それが深い治癒にみちびかれた詩もあるけれど、根本的な詩心は憤りにある。それはかつて東洋では公的な詩の発想の基であつたが、近代的な抒情がすべてを蝕んだのちに、このやうな稀有な詩が生まれたのは、面白いことだ。しかもここでは、憤りの政治的な性質はすべて浄化され、「それの焔の色とりどりの無言」しか見えないのである。〉(「芸術断想――憤りの詩心」『芸術生活』昭和三十九年四月)」

 「天と海 英霊に捧げる七十二章」を三島はレコードに録音しているという。野々宮氏は次のように書かれておられる。

「三島由紀夫の朗読、山本直純の音楽という組み合わせでレコード化される。甘やかで誠実さを感じさせる三島由紀夫の声であるが、このときの三島の文章も音楽的である」。

 このレコードはともかく、氏の詩集は読まねばならぬ作品と直感する。感想は、この夏が逝くまでに随時書き込むことにしよう。

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