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2006年5月21日 (日)

世に棲む日々(続き)

 NHKの教育テレビでアルフレッド・ブレンデルがクラウディオ・アバド指揮のルツェルン音楽祭管弦楽団とベートーヴェンの3番のコンチェルトを弾いている。

 クラリネットにはザビーネ・マイヤー、オーボエにはたぶん日本人と思しき若い女性もいらっしゃる。ブレンデルも歳をとり往年の技巧は衰えている。アバドも歳をとった。病も癒えたとはいえ、その苦しみが痩せ細った肉体に現れているのは痛々しい。しかし、彼の表情や顔を真っ赤にして演奏する楽員や自分の出番以外のところで見せる表情を見れば、人にとって音楽するという行為の楽しさというものがどういうことなのか、ということは、その表情から十分に読み取れる。

 その後のブルックナーの第7交響曲を振るアバドの姿は祷りと言ってもよい姿である。 

 音楽する行為の楽しさと緊張、厳粛さ、とは、そういうものなのだ。それを見て知ることが出来るのはテレビという文明の利器のおかげということはアカショウビンも認め感謝するのはやぶさかではない。文明と近代技術というものにハイデガーや保田與重郎を読みながら懐疑的であるアカショウビンにとっても、その恩恵は認めるしかない。その逆説のよってきたるところは追求するに値する現象と解するが、それは後の課題だ。 

 この世に棲む間に、それが解けるという保障もない。しかし、それこそが、世に棲む日々の楽しさというものであることはアカショウビンは実感するのである。

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コメント

こんにちは。
最近、ブレンデルさんばかり聴いている、のんさんと申します。

>自分の出番以外のところで見せる表情を見れば、
>人にとって音楽するという行為の楽しさというものが
>どういうことなのか、ということは、
>その表情から十分に読み取れる。

ほんと、見ていてにこにこしてしまいました。
みんな、ブレンデルさんをまぢかで観察していたような。。

投稿: のんさん | 2006年5月26日 (金) 午前 12時07分

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