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2006年4月13日 (木)

追悼と名人戦

 今朝の朝刊を見て書いておかねばならないことをいくつか。

 その一。黒木和雄氏が亡くなられた。アカショウビンにとっては何より学生時代に観た「祭りの準備」(1975)の監督であった。それからずいぶんたって「TOMORROW/明日」(1988)を観た。作風は変化していたが新境地を開いたと強く感銘した。それに続く戦争レクイエム3部作と銘打った「美しい夏キリシマ」は見逃した。しかし一昨年は「父と暮らせば」を観た。幽玄と言ってもよいほど深みのある映像だった。氏のこの作品へのこだわりが感得できた。「祭りの準備」「竜馬暗殺」(1974)の黒木作品では凄絶な演技を見せた原田芳雄の役どころには不満もあったが娘役の宮沢りえは可憐で哀れな役どころを慎ましく好演した。また全編に染み渡る静謐と仕上がりには襟を正した。今年は8月に公開される遺作になってしまわれた「紙屋悦子の青春」を観てアカショウビンはご冥福を祈りたい。

 その二。名人戦が始まったその日に日本将棋連盟が主催者の毎日新聞との契約を白紙にしたのニュース。一将棋ファンにとっては寝耳に水だ。今朝の毎日の朝刊を読むと米長会長の写真入りの説明記事。隣に「毎日の名人戦守ります」の見出しで東京本社編集局長の観堂義憲氏が毎日側のコメント。しかし現実は既に連盟と朝日が結託して毎日は虚仮にされている!しかも理由が契約金という金がらみだという。いかに連盟の台所が厳しいとはいえこれはいかなる方針か。

 毎日に説明もなく水面下で卑しく(あえてこう言ってもよいと思う)策動した米長邦雄と中原 誠という偉大な二人の名人とはいったい何者なのか?永年のお二人の名勝負を楽しませて頂いた者には不可解というしかない。卑近に言えば日本将棋連盟は金で朝日に身売りしたわけであろう?それは。朝日は連盟と結託し金で名人戦を毎日から奪い取ろうとしている、そういうことであろう?それは。語るに落ちたのではないか、それは?

 各社の報道記事を併せ読むと、事態は米長会長以下執行部の独断専行のようである。昭和52年(1977年)、朝日から創設者の毎日に名人戦の主催者が移行した時の経緯を振り返れば裏事情が読めなくはない。升田幸三、朝日と大山康晴、毎日という確執が未だに現米長体制まで尾を引いているのではないか?それは深読みだろうか?米長が升田のために大山に意趣返しをしたという読みも出来る。

 最終的には5月26日に行われる総会に於いて表決で決議するという。現在は水面下で票集めが行われているであろう。アカショウビンは総会の多数決なら仕方がないと思う。しかし独断専行の執行部の動きは米長会長の意向に他氏が追随したものだろうが米長流の「無理筋」とアカショウビンは見る。個人責任の対局では許せても連盟所属のプロ各氏と将棋ファン、それと何より主催者への礼節を欠いた裏切りと言ってもよいだろう、それは。両名人のファンとしても、その連盟会長という職責の権力を断行した米長会長の動きは小泉政権のパフォーマンス性が垣間見えるだけに不快である。小泉の知力とは雲泥の差がある筈の米長氏の決断だけに残念だ。日本将棋連盟が毎日新聞をさしおき朝日新聞と結託してコケにした事実は泥沼流だろうが決してさわやか流ではない。

 その三。名人戦第一局は谷川挑戦者が負けた。それも残念。しかし7番勝負は未だこれからだ。今回の連盟の動向には谷川氏のような「礼節」の鏡みたいな将棋指しのご意見がもっとも知りたい。果たして米長会長は谷川氏を説得できるか?谷川氏の言葉、これが将棋界にこの30年間関心を持ち続けてきた者のもっとも知りたい声である。

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